Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

ライフスタイル

「ほおずきは縁起が悪い」といわれるのはなぜ? 庭に植えてはいけない理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

鮮やかなオレンジ色が特徴的なほおずき(写真はイメージ)【写真:写真AC】
鮮やかなオレンジ色が特徴的なほおずき(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 鮮やかなオレンジ色の実が、夏の風情を感じさせるほおずき。一方で、「縁起が悪い」「庭に植えてはいけない」といわれることがあります。お盆にも飾られる身近な植物が、なぜそのようにいわれるようになったのでしょうか。日本古来の伝承や風習、先人の知恵など諸説に着目する本連載。今回は、ほおずきにまつわる言い伝えと、その背景を紹介します。

 ◇ ◇ ◇

漢字では「鬼灯」 お盆に飾る風習も

 ほおずきは、初夏に白っぽい花を咲かせます。その後、花びらの外側にあったガクがどんどん膨らみ、花の中央にできた実を包み込み、オレンジ色に変わっていきます。私たちになじみのある袋状の部分は、実ではなく、ガクです。

 古くから夏を感じる植物として親しまれてきました。地域によっては、提灯のような形をしていることから、先祖の霊を導く明かりに見立て、お盆に飾る風習があります。

 ほおずきには「鬼灯」という漢字があてられています。「鬼」は亡くなった人の霊を、「灯」は提灯を表すといった言い伝えもありますが、その由来には諸説あります。

 こうしたことから、「死を連想させる植物」というイメージが生まれ、「縁起が悪い」ととらえられるケースもあるようです。しかし、こうした話は地域や家庭に伝わる風習によるもので、明確な根拠があるわけではありません。

「庭に植えてはいけない」といわれる理由には、ほおずきの繁殖力の強さが挙げられます。地下茎を伸ばして広がり、思わぬ場所から芽を出すことがあるため、植える場所には注意が必要です。管理が難しくなることから、「気軽に庭へ植えてはいけない」という戒めにつながったのでしょう。

縁起物の一面もあるほおずき 昔ながらの楽しみ方

涼しげな「透かしほおずき」(写真はイメージ)【写真:写真AC】
涼しげな「透かしほおずき」(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 むしろ、ほおずきには縁起物の一面もあります。東京・浅草寺の「ほおずき市」が有名ですが、地域や家庭によっては、無病息災を願い、魔除けの意味を込めて玄関に飾る風習もみられます。

 また、古くからほおずきは、夏の風物詩として暮らしを彩ってきました。たとえば、ほおずきの「笛遊び」です。ガクから実を回しながら外し、実の中の果肉をようじなどで取り除きます。果皮だけにしたものを口の中に含んで鳴らす遊びです。一説によると、平安時代のころから行われていたとか。果皮が少しでも破れると音は鳴りません。うまくいくと、ギュギュッとカエルの鳴き声のような音がします。

 外側のガクを葉脈だけにして楽しむ「透かしほおずき」も、天然のインテリアとして受け継がれています。ほおずきを水に浸けておくと、ガクの表面が少しずつはがれて葉脈だけになります。白っぽいレースのような葉脈の中にオレンジ色の実が透けて見え、涼しげな姿を楽しめるでしょう。

 猛暑が続く現代の夏。縁起の良し悪しにとらわれず、夏の風物詩であるほおずきに親しんできた先人たちに思いをはせながら、その魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

(鶴丸 和子)

鶴丸 和子(つるまる・かずこ)

和文化・暦研究家。留学先のイギリスで、社会言語・文化学を学んだことをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。昭和好き。
インスタグラム:tsurumarukazu