ライフスタイル
日傘が相手の目に当たり救急搬送…治療費や慰謝料を請求されたら? 法的責任を弁護士が解説
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:坂本 尚志

猛暑の影響で日傘を使う人が増えています。一方で、人混みや駅のホームなどでは、日傘がほかの人に当たるトラブルも少なくありません。もし日傘が相手の目や顔に当たり、けがをさせてしまった場合、法的責任を問われることはあるのでしょうか。坂本尚志弁護士に聞きました。
◇ ◇ ◇
差していた日傘が目に当たり救急搬送
仕事帰り、駅へ向かう歩道を歩いていました。夕方とはいえ日差しが強く、私は日傘を差して歩いていました。駅前は帰宅する人で混雑していましたが、とくに気にすることなくそのまま歩いていました。
すると、反対方向から歩いてきた女性とすれ違った瞬間、「痛っ!」という声が聞こえました。振り返ると、私の日傘の先端が女性の顔に当たってしまったようです。
女性は目を押さえてしゃがみ込み、周囲の人も足を止めて騒然となりました。私はすぐに謝罪し、駆けつけた駅員とともに女性を介抱。駅員が救急車を要請し、女性は病院へ搬送されました。
その際、駅員の立ち会いのもとで連絡先を交換し、後日あらためて連絡を取り合うことに。数日後、女性から「治療費や慰謝料について話し合いたい」と連絡がありました。
私は故意ではありませんし、人混みでの偶然の事故だと思っていました。このような場合でも、日傘を差していた側は法的責任を負うのでしょうか。
故意ではなくても責任を負うことも 日傘を使う人に求められる注意義務
日傘を使用すること自体は、もちろん違法ではありません。しかし、周囲に危害を及ぼさないよう十分に注意して使用する義務があります。
とくに駅前や商店街、イベント会場など人が密集する場所では、日傘の先端や骨が周囲の人に当たる危険があります。混雑しているにもかかわらず、周囲への注意が不十分だった結果、相手にけがをさせてしまった場合には、不法行為として損害賠償責任を負う可能性があります。
一方で、事故が起きたからといって、必ず日傘を差していた人だけが責任を負うとは限りません。例えば、相手もスマートフォンを見ながら歩いていたり、周囲を十分に確認せず歩いていたりした場合には、双方に注意不足があったとして、損害賠償額を決める際に過失相殺が認められる可能性があります。
また、日傘だけでなく、雨傘でも同様です。傘を横に大きく振りながら歩いたり、混雑した場所で高い位置に持ったまま歩いたりすると、周囲に危険を及ぼすおそれがあります。
日傘は熱中症対策として有効な一方、使い方を誤れば思わぬ事故につながることもあります。人混みでは傘を少し傾けたり、周囲との距離に気を配ったりするなど、安全に配慮しながら使用することが大切です。
※本記事に記載された事例は、特定の事実関係に基づくものではなく、想定ケースとして構成されたものです。実在の相談・事件・人物等とは一切関係ありません。
(Hint-Pot編集部)