ライフスタイル
「それって白タクじゃないの?」 少年スポーツの送迎 ガソリン代を受け取ると違法になる? 弁護士に聞いた
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:坂本 尚志

少年野球やサッカーなど、子どものスポーツチームでは、保護者同士が交代で送迎を担当することも少なくありません。遠征ではガソリン代や高速道路代を参加者で負担し合うケースもありますが、「それって白タクにならないの?」と疑問の声が上がることもあるようです。保護者同士で実費を精算しているだけでも、法律上の問題になる可能性はあるのでしょうか。今回は、そんなケースをもとに坂本尚志弁護士に法的な考え方を聞きました。
◇ ◇ ◇
送迎の実費精算で保護者同士が対立
小学5年生の息子が少年サッカーチームに所属しています。週末は試合や遠征が多く、保護者が子どもたちを車で送迎するのがチームの慣例です。
ただ、参加人数や荷物の量を考えると、誰でも車を出せるわけではありません。わが家は7人乗りのミニバンに乗っていることもあり、遠征では息子のほか3~4人のチームメイトを乗せることが多く、送迎を担当する家庭も自然と数家庭に固定されていました。
遠征先が高速道路を利用する場合は、ガソリン代や高速道路代、駐車場代などを運転手以外の家庭で均等に負担し、その合計額を車を出した保護者へ渡すのがチームのルールです。私も送迎を担当した日はそのお金を受け取りますが、実際にかかった費用を精算しているだけで、利益が出ることはありません。
ある日、保護者の集まりで送迎の話になった際、新しく入った保護者から思わぬ指摘を受けました。
「お金を受け取って子どもを車に乗せるなら、それって白タクにならないんですか?」
その場では「実費を負担し合っているだけだから大丈夫では」という声もあれば、「法律違反だったら困る」「今後は送迎の方法を見直したほうがいいのでは」という意見も上がり、保護者の間で不安が広がってしまいました。
このように、保護者同士でガソリン代や高速道路代などを負担し合いながら子どもを送迎する場合、白タク行為に当たる可能性はあるのでしょうか。
実費の精算でも白タクになる? 利益目的かどうかがポイントに
まず、道路運送法では、自家用車で有償の旅客運送を行う、いわゆる「白タク行為」は原則として禁止されています。そのため、「お金を受け取って人を運ぶ」という点だけを見ると、不安に感じる人もいるでしょう。
もっとも、実際には、お金を受け取ればただちに白タクになるわけではありません。
例えば、送迎にかかったガソリン代や高速道路代、駐車場代などを、利益が出ないよう実費として精算しているだけであれば、白タク行為に当たるとはいえません。一方で、実費を大きく上回る金額を受け取っていたり、継続的に利益を得る目的で送迎を行っていたりする場合は、法的な評価が変わる可能性があります。
また、送迎を担当する家庭が毎回ほぼ決まっているとしても、それだけで白タクになるわけではありません。実際にどのような名目で、どの程度の金額を受け取っているのか、その実態を踏まえて判断されることになります。
では、「いつもお世話になっているから」と、実費とは別に謝礼として現金や商品券を渡した場合はどうでしょうか。
感謝の気持ちとして渡したものであっても、その金額や渡し方、継続性などによっては、実費の精算とは異なる評価を受ける可能性があります。保護者同士であっても、謝礼が当然のように支払われる運用になっていないか注意が必要です。
保護者同士の助け合いによる送迎は、多くのスポーツチームで行われています。トラブルを防ぐためにも、実費の範囲を明確にし、利益が生じない形で精算方法をあらかじめ共有しておくことが大切です。
※本記事に記載された事例は、特定の事実関係に基づくものではなく、想定ケースとして構成されたものです。実在の相談・事件・人物等とは一切関係ありません。
(Hint-Pot編集部)
坂本 尚志(さかもと・たかし)
弁護士。清陵法律事務所所長。プロボクサー。東京大学法学部卒業。詐欺・消費者問題に注力。https://seiryo-law.com/