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「何十億円、何百億円を投資」 深刻な医師不足解消へAI活用を構想 「にしたんARTクリニック」が描く医療の未来

公開日:  /  更新日:

著者:柳田 通斉

「にしたんARTクリニック」を運営支援するエクスコムグローバルの西村誠司社長【写真:増田美咲】
「にしたんARTクリニック」を運営支援するエクスコムグローバルの西村誠司社長【写真:増田美咲】

 不妊治療を必要とする人が、住む場所によって受けられる医療に差が生じる現状をどう変えていくのか。2022年から「にしたんARTクリニック」を運営支援するエクスコムグローバルの西村誠司社長は、全国80院の開設を構想しています。その実現に向けて課題のひとつに挙げるのが、生殖医療を担う医師の不足です。インタビュー後編では、地方における不妊治療の課題やAI活用の構想、さらに人材採用で重視していることを聞きました。(取材・文=柳田通斉)

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地方から東京へ通う患者も 西村氏が描く「全国80院構想」

 西村氏が全国展開を目指す背景には、地域によって受けられる不妊治療の選択肢に差があることへの問題意識があります。きっかけのひとつになったのが、地方の総合病院で不妊治療に携わっていた医師との会話でした。

「東海地区の総合病院から転職を希望してきた医師と話した際、現地で行われている不妊治療の手法を聞いて驚きました。僕らからすると何十年も前のやり方だったんです。現実に希望する治療を受けるために、新幹線を使って栃木や福島から、東京のクリニックまで通ってくる患者さまが大勢います」

 こうした患者の通院負担を解消するため、西村氏が描いているのが「全国80院構想」です。患者が居住地から1時間半程度で通える場所への展開を目指しているといいます。

「自分が住んでいるエリアから1時間半圏内でみんながアクセスできる場所に、東京と同じ高度な不妊治療が受けられる拠点を作ってあげたいんです。全国でリストアップすると大体80院ほどになります。北海道の稚内や旭川の近くなど、全国津々浦々に拠点を作りたいと思っています」

医師確保の課題にAI活用を構想 「何百億円を投資」

 一方、全国80院の実現に向けて課題となるのが、診療を担う医師の確保です。日本生殖医学会の公式サイトによると、今年4月1日現在、生殖医療専門医は1194人(うち生殖医療指導医は484人)とされています。

 にしたんARTクリニックは現在、全国13院を展開。「毎月延べ2万5000人超の患者が来院」「総勢108人の医師」と公表しています。西村氏は、今後さらに拠点を増やしていくには、医師の確保が大きな課題になると考えています。

「日本ではパイロット不足が叫ばれていますが、不妊治療を望む患者さまの数を考えると、生殖医療専門医の不足はもっと深刻だと言えます」

 この問題を解決するため、西村氏はAI技術と専門医による遠隔サポートを組み合わせた先進的な医療体制の導入を見据えています。

「AIを使った診察の実現に向け、今後は何十億円、何百億円を投資していこうと思っています。例えば、画像をタップすると、大好きな俳優さんが出てきて優しく自分を診てくれる。そのようなAIを日本でいち早く開発したいです」

 昨今、AIによる病気の診断支援の研究は国内外で本格化しています。昨年6月には、米国のマイクロソフトが、人間の医師を上回る診断精度を持つAIを発表しました。国内での実現には詳細な法整備が必要になりますが、西村氏は「近い将来、必ずAIドクターの時代が来る。私はそう信じています」と言葉に力を込めました。