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「無料なんだからいいでしょ」 観光地の試食を完食→店員から「窃盗ですよ」と注意され…本当に犯罪になる?
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:坂本 尚志

旅行先のお土産店などで見かける無料の試食。気になっていた商品を購入するきっかけになる一方、「無料」と書かれていても、好きなだけ食べていいということなのでしょうか。個数制限が示されていない試食を大量に食べた場合、窃盗などの罪に問われる可能性はあるのでしょうか。今回は、そんなケースをもとに坂本尚志弁護士に法的な考え方を聞きました。
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お土産店の試食を完食したら、店員から苦言が…
家族旅行で観光地を訪れ、お土産店に立ち寄ったときのことです。店内を見て回っていると、「ご自由にお召し上がりください」と書かれた試食コーナーが目に入りました。
テーブルには、ひとくちサイズに切られたお菓子が何種類も並んでいます。
「これ、おいしい!」と、ひとつ食べた子どもが喜んだので、「ほかの味も食べてみたら?」と勧めました。私と夫もひとつずつ手に取り、「こっちもおいしいね」と別の種類にも手を伸ばしたんです。
ちょうど小腹が空いていたこともあり、家族みんなで何度も試食。店員が近くにいなかったこともあり、その後も食べ続けていると、気づけば並んでいた試食を完食していました。
「けっこう食べちゃったね」と、夫と笑っていると、試食を補充しに来た店員から声をかけられました。
「お客様、先ほどからご家族でずっと食べていますよね? これは購入を検討される方のための試食です。全部食べられてしまうと困ります」と注意されましたが、「おひとり様1個まで」といった表示はありません。
「でも、『ご自由に』って書いてありますよね? 何個までとも書いていないですし……」
そう答えると、店員から「無料だからといって、全部食べていいわけではありません。場合によっては窃盗になりますよ」と言われました。まさか、無料で置かれているものを家族で食べただけで「窃盗」とまで言われるとは思わず、驚いてしまいました。
確かに、試食としては食べすぎだったかもしれません。ただ、持ち帰ったわけではなく、すべて店内で食べています。「ご自由に」と書かれ、個数制限もありませんでした。
無料の試食品でも、家族で大量に食べれば窃盗罪に問われることがあるのでしょうか。また、何個までという表示がなかった場合でも、「食べすぎ」が犯罪になることはあるのでしょうか。
「無料」でも窃盗罪が成立する可能性は?
試食品が無料で提供されているからといって、客が無制限に持ち去ったり、食べたりすることまで店側が認めているとは限りません。
窃盗罪は、他人が占有する財物を、その意思に反して自分のものとして取得した場合に成立する可能性があります。試食品も店側が管理している財物であり、無料であることだけを理由に、窃盗罪の対象にならないわけではありません。
ただし、試食品は、店側が客に食べてもらうことを前提に提供しているものです。そのため、どこまでが店側の認めた範囲といえるのかがポイントになります。
今回のケースでは、「ご自由に」と表示され、個数制限がありませんでした。しかし、試食は一般的に商品の味を確かめ、購入を検討してもらうために提供されるものです。大量に食べた場合には、店側が認めている範囲を超えたとして、窃盗罪の成否が問題になる可能性もあります。
ただし、「○個以上食べれば窃盗」という明確な基準が法律で定められているわけではありません。今回のように「ご自由に」と表示され、個数制限も設けられていない場合、大量に食べたという事情だけでただちに窃盗罪が成立するわけではありません。
無料の試食であっても、店側から注意を受ければ、それ以上食べることは控えるべきでしょう。ほかの客も利用することを考え、節度を持って楽しむことがトラブルを避けることにつながります。
※本記事に記載された事例は、特定の事実関係に基づくものではなく、想定ケースとして構成されたものです。実在の相談・事件・人物等とは一切関係ありません。
(Hint-Pot編集部)
坂本 尚志(さかもと・たかし)
弁護士。清陵法律事務所所長。プロボクサー。東京大学法学部卒業。詐欺・消費者問題に注力。https://seiryo-law.com/