ライフスタイル
新品の畳に「くさい!」 鼻をつまむ子どもに「世も末だ…」 町の小さな畳屋が憂う“畳離れ”の現実
公開日: / 更新日:

秋も深まり、キンモクセイの匂いが漂う時期となりました。季節の移ろいを感じさせる芳醇な香りですが、人によっては「くさい」「不快」と感じてしまうこともあるようです。そんな現代人の感性を嘆いた畳屋の投稿が、ネット上で大きな反響を呼びました。新品の畳の匂いに、「くさい」と言って鼻をつまむ子どもたち……。時代の流れに抗う親子2代の挑戦に迫りました。
◇ ◇ ◇
新品の畳の匂いに、子どもが「くさい」と鼻をつまんで…
「金木犀が『臭い』と言われる世の中、そりゃ畳も『異臭』扱いされるわけだ」
今月上旬、日本人の“畳離れ”を嘆く投稿がSNS上で話題を呼びました。投稿者は、創業56年の「小山畳店」の店主・小山秀晴さん。一連の投稿では、注文した客に新品の畳を卸した際の、とあるエピソードがつづられています。
「畳を納品すると『いい香り!』と喜んでくれる方がいる一方で、『臭い、この匂いいつ消えるの?』と言われることがあります。特にショックだったのは、小さなお子さんが『臭い! 臭い!』と鼻をつまんでいたことです。きっと、お父さんやお母さんが口にした言葉をそのまま真似しているんだと思います」
丹精込めて作った畳を前に、鼻をつままれる光景に、ひどくショックを受けたという小山さん。人工的な柔軟剤や芳香剤の香りに慣れすぎて、自然の香りを「異臭」と感じてしまう現代っ子の感性に、「なんだか、世も末だな…と寂しくなります」と率直な思いをつづったところ、大きな反響が寄せられました。
「あんなにいい匂いなのに」「日本人に生まれてよかったと思える匂い」といった共感の声が多く寄せられた一方、中には「井草はいいけど金木犀は苦手」「時代関係なく個人の感じ方の違い」といった意見も上がるなど、反応はさまざま。投稿は61万回表示され、7万件を超える“いいね”、3000件以上のコメントが寄せられています。
小山畳店の創業は、2代目にあたる秀晴さんが生まれた55年前のこと。アルコール依存症や糖尿病を患っていた父・秀男さんは60歳という若さで亡くなり、秀晴さんは中学卒業と同時に働き始め、家計を支えてきたそう。現在は27歳の息子・泰治さんと2人、親子2代で店を切り盛りしています。
「さいたま市の端っこでやっている小さな畳屋です。作業場は7坪、たぶん日本で一番小さい畳屋です」と謙遜しつつ、畳業界の現状には使命感も抱いているという小山さん。「私たちには、発信しなければいけない理由があるんです」と、先月末に新たにSNSアカウントを立ち上げたそう。