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焼き魚に添える大根おろし、奥と手前どちらが正解? 意外と知らない和食のマナーを専門家が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

秋の味覚サンマの塩焼き。大根おろしを奥に添えるのはNG?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
秋の味覚サンマの塩焼き。大根おろしを奥に添えるのはNG?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 秋は魚がおいしい季節。サンマやサケなど旬の魚を焼いて味わう機会も増えるでしょう。焼き魚には大根おろしを添えることが多いですが、実は盛りつける位置に和食の作法があるようです。大根おろしは魚の奥、手前、どちらが良いのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

和食では盛りつけの基本がある

 サンマなど焼き魚1尾を盛りつけるときは、頭を左側に、尾を右側に置くのが和食のルールとされています。理由には諸説ありますが、日本の伝統的な考え方「左上位」に由来していると考えられています。左上位とは、左側を優先する考え方です。主食のごはんを左、みそ汁を右に置くのも、左上位の流れといわれています。

 さらに、皿の上にまっすぐ横に置くのではなく、頭をやや左下(手前)、尾を右上(奥)にして斜めになるように盛りつけるのが基本です。一説には、魚が泳いでいるような姿を表現するためとも考えられています。

 焼き魚には、大根おろしなどの「あしらい」を添えるのが一般的です。魚を斜めに盛りつけると、皿の左奥(頭の上)と右手前(尾の下)に置くスペースが生まれます。主役である魚を引き立てるため、大根おろしは右手前に置くのが良いとされています。

 また、この位置に添えることで、食べる際に大根おろしを取りやすいという利点もあります。切り身の焼き魚の場合は皮を上にして、大根おろしは1尾の焼き魚と同じように右手前に添えると良いでしょう。

 和食のシーンで、焼き魚の大根おろしを奥に添えることが、必ずしもマナー違反とはいえません。しかし人によっては、作法に反していると受け取ることも。来客時など料理を振る舞う際には、盛りつけの基本を知っておくと良いでしょう。

しょうゆは魚ではなく大根おろしに

 焼き魚に大根おろしが定番となっている理由のひとつに、大根に含まれる分解酵素の働きが挙げられます。大根にはでんぷん分解酵素の「アミラーゼ」やたんぱく質分解酵素の「プロテアーゼ」、脂肪分解酵素の「リパーゼ」が多く、胃腸への負担を軽減し、消化を助ける働きが期待されるためです。

 大根おろしの食感とさっぱりとした風味は、脂のしつこさを和らげて口の中をさっぱりさせる口直し効果もあります。飽きずにおいしく食べられるでしょう。

 焼き魚を食べるときにしょうゆを使いたい場合は、大根おろしにかけるのがスマートです。場合によっては、焼き魚に直接しょうゆをかけることがマナー違反と受け取られることがあります。本来の味を損なってしまうこと、身が崩れやすくなり食べにくくなることが理由です。

 焼き魚を引き立てる大根おろし。脇役ですが、盛りつけなどの作法を押さえておくと安心です。秋の味覚を堪能しましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾