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どうぶつ

獣医が教える 室内飼いの猫にも潜む熱中症のリスク 覚えておきたい対策と対処法

公開日:  /  更新日:

著者:猫ねこ部

熱中症になった場合 応急処置の方法とは

 熱中症になったら、一刻も早く身体を冷やす必要があります。次のような応急処置をしつつ、動物病院へ連絡を入れ獣医師の指示に従ってください。すぐに回復したとしても、脳や内臓に障害が起こることもあるので、必ず動物病院で診てもらいましょう。病院ではこれらの処置と併せ、猫の状態に応じて脱水改善のための点滴治療や、ショック症状を防ぐためのステロイド剤投与などを行います。

 まずは猫を涼しい場所へ連れていき、保冷剤や濡らしたタオルで首、脇、後ろ足の付け根などを冷やしてあげてください。水で濡らしたタオルで全身をくるんだりしても良いでしょう。ただし、体温が下がりすぎてしまうと低体温症になってしまう恐れがあるので、氷水などは使わないように。冷やしている間にも体温を測り、熱が39度くらいまで下がり、ハァハァという口呼吸が収まるまで冷やし続けましょう。

 自力で水を飲める場合は、少しずつ水を飲ませてあげてください。ただし、ぐったりしていて飲めない場合は無理せず動物病院に連れていきましょう。無理に飲ませようとすると気管を通して肺に水が入ってしまい、誤嚥性肺炎を起こす恐れがあります。

参考にしたい 飼い主さんが実践する暑さ対策

 実際に飼い主さんはどんな暑さ対策を行っているのでしょうか。まず紹介するのは、はぴ@足長マンチカン(@hapi_724)さんの「はぴ」くん。ねこ鍋にフィットしています。今年5月に購入したというねこ鍋ですが、「基本何に対しても興味深々なタイプ」というはぴくんは、初日からごろんと入ってくつろいでいたそうです。

 飼い主さんによると「昼間は人間不在でお留守番してもらっているので、エアコンは27~28度設定にして今の時期は24時間フル稼働しています。水飲みも2か所設置して、不在時でも水分を切らさないよう気を付けています」とのこと。

 次の猫はモナ(@MONA_0606_)さんちのモナちゃん。1歳の女の子です。窓辺でお昼寝するのが大好きなモナちゃんが、気持ち良さそうにごろりんしているのは「珪藻土マット」。暑さ対策としてねこ鍋か珪藻土マットを考えていたという飼い主さんですが、検討の結果、冷えすぎずかさばらない珪藻土マットをチョイスしたといいます。「珪藻土マットは自然の冷たさで、さらに冷やしたい時はマットを濡らすといいみたいなので試してみようと思います」と説明してくれました。

 他にも遮光のレースカーテンを使ったり、水分補給にも気を遣っているとか。マットの隣に置いてあるのが自動給水器「フラワーファウンテン」。水飲みに入ったお水よりも流れるお水に興味深々! という猫には、こういった水を飲ませる工夫も良いですね。このフラワーファウンテンを含め3か所に水飲み場を設置しているそうです。「私が1日家にいる時はエアコンをつけたり消したりですが、だいたい26~27度くらいの温度設定にしています。今の時期は、できるだけ自然の風が入るように気を付けています」。梅雨の時期は室温が高くなくても湿度が上がって熱中症のリスクも高まってしまうので、除湿をうまく使っている点はぜひ見習いたいですね。

 そして、ふかふかひんやりベッドでくつろぐ猫は、肉球せんせい@皮膚科専門医/漫画イラスト描き/美容医療(@29Qsensei)さんちのお嬢ちゃん。このベッド、猫飼いSNSユーザーさんの間でも大人気のニトリのNクール。飼い主さん曰いわく「なにぶん飽きっぽいもので、今は気が向いた時に寝ているような感じですね」とのこと。また「メインの部屋のエアコンはかけておいて、他の部屋は窓を開けて換気しつつ、メインの部屋のドアは猫が通れるギリギリ程度に開けて冷気をキープするようにしています。それと、新鮮なお水を落ち着いて飲めるところに置いています。暑すぎても困りますが、エアコンの直接の冷気はやっぱり嫌みたいなので……」と説明してくれました。

 熱中症にかかりやすい猫の種類・特徴は以下の通りです。

 
・鼻ぺちゃの短頭種(ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなど):気道が短く、呼吸による蒸発で体温調節をするのが苦手
・肥満気味の猫:皮下脂肪が断熱層の役割となって、身体に熱を蓄えやすい
・幼齢猫や老猫:幼齢の猫は体温調節が未熟。老猫は脱水になりやすい、呼吸がゆっくり

 
 猫の熱中症は飼い主さんのちょっとの工夫や配慮で防ぐことができます。

 
・室内飼いであっても猫は熱中症になる可能性がある
・重度になると命にも関わるため、猫の様子をしっかり観察するように
・留守番時以外でもエアコンを使って室温・湿度管理をする
・いつでも新鮮な水を飲める工夫をする
・逃げ場になる涼しい場所を用意しておく
・ケージに入れておく時は設置場所に注意
・猫が入り込みそうな狭い場所をふさいでおく
・移動時にもキャリーケースの置き場所などに配慮を
・熱中症になった身体を冷やすなどの応急処置をしつつ獣医師に連絡を

 
「室内飼いなので大丈夫!」と油断せず、万全の対策をして暑い夏を乗り切っていきましょう。

(猫ねこ部)