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エリザベス女王がヘンリー王子を決して見捨てない理由 心から愛した妹との悲しい確執の記憶
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ヘンリー王子エリザベス女王森昌利ロイヤルファミリーマーガレット王女
自らの経験が影響か 英紙が報じる
血を分けた関係でありながら、王位継承権という王室ならではの厳しい序列の存在で、確執を余儀なくされた姉妹や兄弟。これまでも歴史上、さまざまな人間ドラマを生み出してきた英王室だが、エリザベス女王本人にも妹マーガレット王女との“悲しみのドラマ”があり、だからこそヘンリー王子を寵愛し、心痛を思いやる気持ちが消えないのだという。
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英大衆紙「デイリー・エクスプレス」が掲載した記事によると、エリザベス女王はメーガン妃とヘンリー王子が王室内でいかに不満を抱いていたかを熟知し、その感情の動きも同情心を持って理解していることから、今後どんなことがあったとしても「サセックス公爵夫妻(ヘンリー王子夫妻)を見捨てることはない」という。
その孫息子夫婦に対する「見捨てない」という固い決意の裏には、最愛の妹だったマーガレット王女との苦い記憶がある。
マーガレット王女が、16歳年上で離婚歴のあるピーター・タウンゼント大佐と恋に落ちたのは1950年代。エリザベス女王は個人的には妹の幸福を願って、同意する思いでいた。しかし結局は、当時の王室の常識から大きく逸脱した結婚となることから板挟みに。周囲の反対に押し切られる形で、女王は同意を覆したと伝えられている。
王室関連著書で有名なロバート・レーシー氏は、こうした事件があった上に「マーガレット王女には、王室にとって伝統的な次女シンドロームがあった」と指摘。つまりは数年の生誕の違いで王位に就いた姉との序列に苦しんだわけだが、その妹の苦しみを間近で見続けたエリザベス女王にとって「今回、王室内で孤立したヘンリー王子の苦しみが痛いほど理解できる」という。
レーシー氏は、こうした悲劇は王室につきもので、エリザベス女王とマーガレット王女、そして今回確執が注目されているウイリアム王子とヘンリー王子だけの問題ではないとしながら、こうした理不尽な苦しみを強いられた次男のヘンリー王子に対する女王の思いは強いと分析。「今後、サセックス公爵夫妻が戻ってきたいと言えば、温かい気持ちで迎えるはずだ」と語る。
今年3月末日で“王室引退”となったヘンリー王子とメーガン妃だが、1年後にはその1年間を振り返って見直す「レビュー」が予定されている。これも結局は、エリザベス女王がヘンリー王子を追い詰めないための処置。クラウン(王位)という絶対的な宿命から仲違いした兄弟、姉妹の過ちを繰り返したくないという94歳女王の深謀遠慮の表れだろう。
(イギリス・森昌利/Masatoshi Mori)