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晩夏から秋はキャンプの季節 ナチュラリストが綴る米ロサンゼルス流の楽しみ方

公開日:  /  更新日:

著者:小田島 勢子

子どもも大人も楽しめる おいしいものももちろん必須!

パラシュートシルクのハンモック。大判なためとてもゆったりした寝心地【写真:小田島勢子】
パラシュートシルクのハンモック。大判なためとてもゆったりした寝心地【写真:小田島勢子】

1、ハンモック
 まずハンモックですが、アウトドア用のパラシュートシルクのものを愛用しています。パラシュートに使われているほどの軽さと耐久性があって、持ち運びも便利でアウトドアに使いやすい素材です。

 さらに、普通のハンモックよりも幅が広くなっているので、ハンモックに対して斜め、または真横に身体をまっすぐ伸ばして寝ることができます。身体がくの字にならず、包み込まれるように安定するので、小さな子どもも安心して使うことができます。

 キャンプサイトに着いてまず、テントを張るより先にハンモックを張ることのできる木を探すのが、我が家流のキャンプの始まりです。

 
2、トランシーバー
 トランシーバーは、家族で行動する時に、意外にも心強い味方になります。キャンプで山に入ると、携帯電話の電波が届かぬ場所になることもしばしば。日常の喧騒を避け、自然を求めキャンプをする場所には携帯は必要ないわけですが、複数人で行動していると連絡を取りたい場面が出てきます。

 例えば、テントに残る組と川へ遊びに行く組に分かれるなど別行動を取る場合や、家族全員でトレイル(登山道や林道)へ行くにしても、予定していた集合時間を過ぎそうな時や道に迷った時など、もしものことがあった場合に、家族や家族以外の誰かに信号を送ることもできます。

 
3、お酒やコーヒー
 お酒とコーヒーは完全に私たち夫婦の嗜好品です。ここアメリカでは、お酒は野外の公共の場で飲むことができないため、日本のように公園や道路脇で桜を愛でながら……といった風情に満ちた楽しみ方はできません。

 そのためキャンプ場の宿泊を決めた場所は唯一許される、青空や星空の下のお酒タイムとなり、とても貴重な時間です。そして次の朝、まだひんやりと冷たい空気と熱い淹れたてのコーヒーを一緒に吸い込む瞬間も、たまらない幸せの時間なのです。

 
4、スモアセット
 最後は、子どもたちのお楽しみ。ハニーグラハムクラッカーとチョコレート、そしてマシュマロのスモアセット。夕食後、辺りも暗くなり、テントの横でキャンプファイヤーを囲み、子どもがワクワクして待ちます。“Some more.”(もっとちょうだい)の言葉が省略されて「s’more(スモア)」と呼ばれるようになったと言われる、アメリカのキャンプでは定番のお菓子です。

 串に刺したマシュマロを誰が一番きれいに焼けるかを競い合い、ふわふわにとろけたマシュマロを甘いグラハムクラッカーにチョコレートと一緒に挟みます。余熱でチョコレートが溶けてきたところを、満面の笑みを浮かべて食べている姿は何とも子どもらしく、親の私たちの心もマシュマロのようにとろけるのです。

快適なキャンピングトレーラーと自然を大満喫するテントキャンプ

牽引式のトレーラー。夫の在宅勤務の場にも【写真:小田島勢子】
牽引式のトレーラー。夫の在宅勤務の場にも【写真:小田島勢子】

 テントとは別に、私たちは3人目の子どもが生まれてすぐに、20年落ちの古いトレーラーを購入しました。手直しは必要だったものの、夫の手によって外側も内側も生まれ変わり、購入して何年も経った今も、私たちを山へ海へと連れて行ってくれています。

 トラックで牽引するタイプなので、普段は家の駐車場に離れのように佇んでいるこのトレーラーですが、新型コロナが始まった頃、在宅勤務になった夫の大切な仕事場になったこともありました。

 小さな4畳ほどの箱型の部屋には、5人が食事をできるソファとテーブル、トイレとシャワー、ガスコンロとシンク、冷蔵庫とベッドが備わっています。

 寝床は、普段棚になっている部分を引き出せば2段ベッドに早変わり。さらにソファとテーブルをくるりと変形させれば、合計で5人、家族がゆったりと寝られるベッドが出来上がります。

 そんな機能性抜群のトレーラーなので、まだ小さかった子どもたちとのキャンプはとても快適でした。特に水回りがあるので、トイレやシャワーがすぐに使えることもとても助かる点です。冷蔵庫と調理コンロは、トレーラーに備え付けてあるプロパンガスを使っています。

 トレーラーキャンプにも、テントキャンプにも、それぞれ良い部分があり、私たちはその時のキャンプサイトの条件や気候、距離によってどちらでキャンプするかを決めています。

 山の上でトレーラーが入り込めないキャンプサイトや、トレーラーを引っ張って行くと時間がかかってしまう(トレーラー牽引はフリーウェイの制限速度が低くなるため)距離の遠いキャンプでは、テントキャンプで思い切り自然を満喫します。

 トレーラーキャンプは、夏の暑さや冬の寒さをしのげるため(エアコンが付いています)寒さが厳しいけれど星空がきれいな砂漠地帯へ、流星の群れを家族みんなで見に行くこともあります。

 自然の中で過ごすのが好きな私たち夫婦は、子どもたちが巣立った後、小さなトレーラーハウスで生活し、旅して回ることが人生の目標となっています。

(小田島 勢子)