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猫が水を飲まないのはなぜ? まず見直したい器選びのポイントとは 病気のリスクもおさらい
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「うちの子、あんまり水を飲まなくて……」とお悩みの、猫の飼い主さんは多いようです。今年は残暑が厳しく、水分不足になっていないか特に心配になりますよね。そこで今回は、猫にうまく水を飲ませる方法をご紹介します。猫の水分不足に潜む病気のリスクを解説。また、まずおすすめなのが、普段使っている器の見直し。重視したいポイントは要チェック!
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水分不足は泌尿器系の疾患・腎臓病などの原因に
猫の祖先は、砂漠などの乾燥地帯で暮らしていた「リビアヤマネコ」だと言われています。砂漠での水分はとても貴重なので、リビアヤマネコは少ない水分でも生きていける身体に進化を遂げたとされています。
猫のおしっこは、とても濃く量も少ないです。これは、貴重な水分を体外に排出しすぎないように、腎臓で尿をぎゅっと凝縮しているため。猫が水をあまり飲まないのは、少ない水分でも身体がうまく機能するようにできているからなのです。
少ない水分でも生きていける身体ではありますが、だからといって水を飲まなくても平気というわけではありません。水をあまり飲まないと、以下のような健康への影響が出てきます。
○脱水症状
水分は生きていくために絶対に必要なものです。猫の身体の60~80%は水分で構成されており、脱水症状などで体内の10%以上の水分が失われると命の危険もあります。高齢の猫や腎臓の機能が弱まった猫、肥満の猫は特に注意が必要です。
○泌尿器系の疾患・腎臓病
水分には、体内の老廃物を体外に排出する大事な役割があります。そのため、水をあまり飲まないと泌尿器系の疾患や腎臓病、熱中症にもかかりやすくなります。
○尿路結石
尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石ができる病気です。水を飲まないことで、尿の中のマグネシウム、リン、カルシウムなどのミネラル成分が増え、結石ができやすくなります。
○膀胱炎
膀胱内に細菌や真菌が増殖し、炎症が起こる病気です。また、膀胱内に結石ができることで膀胱粘膜が傷付き、発症することもあります。
○慢性腎臓病
腎臓のネフロンという組織が壊れ、老廃物のろ過や身体に必要な成分・水分の再吸収などがうまくできなくなる病気です。一度発症すると、腎機能が元に戻ることはありません。
○便秘
体内の水分が減って便の水分量も減ると、固く乾燥したコロコロうんちになり、便秘がちになります。
○熱中症
夏~初秋は特に気温が高いため、こまめに水分補給をしないと体内にこもった熱をうまく外に逃がすことができず、熱中症になることがあります。
猫に必要な1日の水分量は、体重1キロあたり50~60ミリリットルと言われています。とはいえ、必要な水分をすべて飲み水で補わなければならないわけではなく、食事からも水分補給はできます。
「うちの子は身体が大きいから……」と多量に水を飲ませなければならないということではありません。ただ、普段からあまり水を飲まない猫の場合は、飼い主さん自身が水を飲ませるための工夫をしてあげましょう。