インタビュー

元「NHKニュース7」気象担当の半井小絵さんが語る 災害時に個人がやっておくべきこと

著者:中野 裕子

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元「NHKニュース7」気象担当で防災の活動を行っている半井小絵さん【写真:荒川祐史】
元「NHKニュース7」気象担当で防災の活動を行っている半井小絵さん【写真:荒川祐史】

 秋は台風の襲来が多いとされる季節。最近では非常に強い台風10号の接近で最大級の警戒が呼びかけられ、一層、危機感が高まった。また現在、台風12号が日本に接近するおそれがあり、大雨などへの注意が必要だ。しかし、災害への備えの大切さは繰り返し報じられていても、“やるべきこと”“やった方がいいこと”はたくさんあり、いざ直面するまでは手付かずの人も少なくないだろう。防災月間の9月も後1週間。そこで、かつて「NHKニュース7」に出演していた気象予報士の半井小絵さんに、最新の役立つ情報収集の仕方や心がまえ、半井さんが実際に行っている備えについて聞いた。

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阪神・淡路大震災は就寝中に被災 枕元の眼鏡が飛んでしまい困った経験も

 半井さんは気象予報士であると同時に、NPO法人火山防災推進機構客員研究員、日本災害情報学会企画委員を務め、被災地の現地調査や防災の講演活動を行っている。

「子どもの頃、一緒に暮らしていた祖母から災害の恐ろしさを聞いて育ちました。祖母は小学校5年生の時、室戸台風で倒壊した校舎の下敷きになり、友達を亡くした経験があるのです。私自身も阪神・淡路大震災の時、兵庫の実家で被災した経験がありますし、災害への備えの必要性は身をもって感じています」

 阪神・淡路大震災の際は自宅で就寝中に被災。枕元に置いておいた眼鏡が吹き飛んでしまい、強い近視の半井さんは困ってしまった。その経験から、就寝前に眼鏡はケースに入れ、ベッドマットとベッドフレームの間に挟み込み、飛んでいかないようにしているそうだ。

「水や長期保存可能な食料品の備蓄もしていますが、まずは命を守ることが大事なので、寝室のベッドの周りには、倒れてもベッドには倒れかかってこないような、背の低い家具しか置かないようにしています。寝ている最中に地震が起きたら、倒れた家具の下敷きになって命を落とす危険があるからです。地震のようにほとんど予測不可能な災害は、昼間なら逃げることができますが、夜の就寝中に起こると対応ができません。それが一番怖いと思っています」

 まずは命を守るための備えが大切だ。

災害も地域もいろいろ イメージしてトレーニングしておくことが必要

 地震以外の災害はある程度予測ができ、備えることができるが、そう簡単ではない。

「地震以外の災害といっても、台風をはじめとした気象災害、火山噴火、津波などいろんな種類がありますよね。それに、それらの災害は単独で起こるわけではなく、火山噴火が発生している時に台風が来る恐れもあるのです。また、台風に伴って発生する災害は風の被害の他、高潮、川の氾濫、土砂災害などさまざまで、備えもそれぞれ違うのでひとまとめにはできないのが悩ましいところです」

 それら種々の災害からせめて命を守るには、イメージしてトレーニングをしておくことが必要だという。

「例えば、台風が近付いてきたとしても、どんな地域に住んでいるか、どんな家に住んでいるかによって、どう備えて行動すれば命が守れるのか、ということは一人ひとり違ってきます。海や川のそば、急な斜面のそば、低い土地、同じ地域であってもマンションの高層階と戸建てで備えるべきことやものは違います。だから、自分の状況に合わせてイメージトレーニングをしておくことが大事です。そうしないと、いざ実際に災害に遭った時に行動することができません」