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両親を介護の末に見送った60代独身女性 現在の思いを告白 「将来の不安といえば孤独死」
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交際相手には家庭が 奪おうと思ったことはない
結婚願望は若い頃からあまりありませんでした。もちろん男性と交際はしてきましたけど、タイミングが合わなかったりして結婚には至りませんでした。両親も私が若い頃は「早く結婚しなさい」と言っていましたけど、それほど強くは言われませんでした。
今も交際している男性はいますが、実は彼には家庭がある。交際してもう10年以上になります。彼を奥さんから奪って結婚したい、と思ったことはありません。私は両親と一緒のお墓に入りたいので(笑)。ただ、彼がいてくれたおかげで、両親を亡くして1人になった寂しさを乗り越えられたのかなと思います。
若い頃から、子どもが欲しいとはあまり思っていませんでした。だから、結婚願望もそれほど強くなかったのかも。子どもは好きで、姪がいるのでかわいがっているんですけどね。将来、私の面倒をその姪に見てもらおうという気持ちはありません。年を取って介護が必要になったら、老人ホームに入ろうと思っています。といっても、お金がないと入れませんけど。
80歳ぐらいまでは生きられるお金がある
幸い、両親が遺してくれた遺産があり、おかげで80歳ぐらいまで生きられるお金は何とかなるかなと思っています。今は働いて、月手取り20万円とギリギリの金額ですけどお給料をいただいているし、私自身の貯金は400~500万円しかありませんが、ずっと働いてきたので企業年金をもらえますしね。
元々、あまりお金がかかるタイプではないんです。食べたり飲んだりするのが好きなのでエンゲル係数は高いですけど、基本は自宅での飲み食いですから、それほどお金は使いません。旅行はあまり好きじゃない。
趣味といえば、テレビで好きな韓国ドラマや中国ドラマを見たり、本を読んだり、音楽を聴いたりすること。1人でいることも全然苦じゃないんです。だから孤独に苛まれる、ということもありません。基本的に家にいるのが好きなので、家で使える運動器具とか電気製品とかをつい買ってしまいがちかな。お金を使いすぎないように気を付けなくちゃ、とは思っています。
将来の不安は孤独死 永代供養墓を考える日々
遺産相続問題で、両親が亡くなると遺産問題でもめてきょうだいの仲が悪くなるとよく聞きますけど、私と弟はそんなことがまったくありませんでした。昔から私たちは仲の良いきょうだいで、弟は私のことを気にかけてくれるんです。
実家を売って買ったマンションは弟と共同名義ですが、「姉ちゃんが両親の面倒を見てくれたから」と、購入時に余ったお金や両親の遺した貯金は私名義にして管理してくれています。私が独身でも不安があまりないのは、信頼できる弟がいるからでしょうね。弟は安定した研究職に就いていて、しっかりしているんですよ。弟なのに、兄のように頼りになるんです(笑)。
健康面では50代で胃潰瘍とかを患って、6、7年前には軽い喘息になり肺炎を起こして入院したこともありましたけど、今は落ち着いています。元々、何かあるとすぐに病院にかかるタイプなので、自分の身体のケアはできている方じゃないかと思います。両親ともに長生きでしたから、私も長生きしそうだなと。
不安といえば、孤独死しないかということですね。自宅マンションで孤独死して何か月も発見が遅れたとなると、私が死んだ後、マンションを貸すにも売るにも難しくなってしまう。だから会社を定年になって、もしパートナーや弟が私より先に亡くなってしまったら、仲の良い友達と毎朝「生存確認」の電話連絡を取り合おうね、と今から話しています。後はお墓の問題。弟夫婦も娘が1人だから、永代供養墓でも建てようかと考えています。
(中野 裕子)