漫画
「鬼滅の刃」で反抗期の息子と関係修復 エピソードを描く漫画が話題 登場したご本人のその後は?
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歴史的大ヒットを記録している映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』。子どもも大人も夢中になっている同作がきっかけで、友人や家族と会話が弾んでいるという人も多いでしょう。また、普段はあまり口を利かない人との会話の糸口になったというケースもあるようです。ネット上では、同作のおかげで反抗期の息子との会話が増えたことを喜ぶ、職場の上司を描いたエッセイ漫画が話題になっています。作者の大塚紗瑛(@saeMNG)さんに話を聞きました。
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「私の中じゃ神だよ」 エンタメ作品が及ぼす影響の大きさを改めて感じた作者
「老人ホームに恋してる。介護職1年生のめくるめく日常」(祥伝社)や、「有料老人ホーム検索 探しっくす」で連載「すいもあまいも」を手がける大塚さんは普段、介護施設で働きながら、絵や漫画を描いています。このほど、そんな大塚さんが描いた6ページの「先月あったいい話」に注目が集まりました。
大塚さんはひょんなことから上司と漫画の話で盛り上がり、話題の「鬼滅の刃」のコミックを貸すことになったそう。すると会話では日に日に、上司の息子に関する話題が増えていったといいます。
ある日の休憩中、大塚さんは上司から、反抗期真っ盛りのためほとんど話すことがなくなっていた息子との会話が、漫画のおかげで最近増えていることを明かされました。さらに上司は漫画を貸してくれた大塚さんのことを「私の中じゃ神だよ」と崇め、その出来事がいかにうれしかったかを伝えています。大塚さんは上司の言葉から改めて、絵や漫画など、作品が人に及ぼす影響力を目の当たりにし、その時に気付いたこと、感じたことを漫画にまとめました。
この漫画が発信されると、「共通の話題は心の架け橋だと思います」「私は去年の今頃に母が入院してしんどい時期に鬼滅に支えられました」「鬼滅は私の中でも生涯思い出に残る作品です」など、共感のコメントが寄せられています。
制作中はとても緊張…! それでも描いた理由とは
大塚さんに漫画を描いたきっかけや、その後についてお聞きしました。
Q.今回の漫画を描いたきっかけは?
「私自身も上司と似たような経験があり、それは本当にうれしいことですし、良いものは伝えていきたいなと思ったからです。とはいえ、大人気作品のタイトルを作中に複数挙げているので、描いている最中はものすごく緊張しました。でも、上司からこの話を聞いて『自分の作品がこんな風に人と人とのつながりのきっかけになるなんて、作家からしたら1つの幸せだろう』と作家の端くれとして思いましたね」
Q.漫画の題材になったことについて、上司の反応は?
「漫画を描いていることを伝えたら『私なんぞネタになるようなものじゃあないよ(笑)』と謙遜されていました。でも、完成したものをお見せすると『すごいね。漫画を読んで息子との会話が増えたことが、やっぱり私は一番うれしかったから、ありがとう!』と喜んでおりました。あと2枚目の2コマ目『え? ソール…なに?』という台詞が、『漫画に詳しくないおばさん感が出ていて良かった』と褒めて(?)いただけました」
Q.心に残った感想は?
「『漫画にせよアニメにせよ映画にせよエンターテイメントの役割の本質ってこういうことなのかもしれない』というお声がうれしかったです。言いたいことが伝わったんだなって。あと、それぞれのご家庭の『いい話』『いい作品』があってほっこりしました」
反抗期は成長において非常に重要ですが、親としては悩みや戸惑いが多い時期でもあります。子どもとの信頼関係を深め、近くから見守っていくには、こうして子どもと共通の話題を持つことが、1つの手助けになるようです。
(Hint-Pot編集部)