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コロナ禍で急増中の“国際ロマンス詐欺” 20万円を失った作者が「ゾッとする」漫画を描いたわけ

著者:Hint-Pot編集部

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漫画のワンシーン【画像提供:あおきいっぺい(@ippei_001)さん】
漫画のワンシーン【画像提供:あおきいっぺい(@ippei_001)さん】

 外国の軍人を装い、インターネット上で知り合った相手に恋愛感情を抱かせて、現金を騙し取る“国際ロマンス詐欺”。コロナ禍で在宅時間が増え、被害が増加傾向にあると言われています。「自分は絶対に騙されない」と思っている人ほど要注意。実際に詐欺に遭い、20万円を失ったエッセイ漫画が話題を呼んでいます。作者で漫画家のあおきいっぺい(@ippei_001)さんに話を聞きました。

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言葉巧みに心の隙間に入り込む 詐欺犯の生々しい手口

 あおきさんによると、当時いろいろなことがうまくいっておらず、暗い気持ちが続く中で気分転換のためにマッチングアプリを始めてみることにしたそう。そこで偶然、好みの外国の軍人男性とつながったと言います。

 それまでに経験したことのある怪しい誘導もなく、自然な流れでメッセージアプリを使って連絡を取り合う仲に。翻訳機能を使いながら、スムーズにコミュニケーションが取れたこともあり、あおきさんはすっかり相手を信用し始めていました。

 その様子を感じ取ったのか、相手は休暇を利用して日本に来ると言い出します。ホテルの手配や荷物の預かりを頼まれ、戸惑いつつもお願いを聞いてしまう、あおきさん。すると荷物に保証を付ける必要があり、11万5000円という高額の支払いをお願いされます。その際にも偽サイトを使い巧妙に信じ込ませます。

 あおきさんは言われるがままにコンビニでウェブマネーを買い、送金してしまいました。しかし、その後も税関での支払いという名目で、45万円の送金を求めてくる相手。「嫌われたくない」という気持ちを操られ、すっかり正常な判断ができなくなってしまったあおきさんは、さらになけなしのお金を送ってしまいます。それでももっともっとと、相手はとどまるところを知りません。

 ところが、そこで事態が急展開。何と最初の偽サイトの使い方を相談していた友人から、「詐欺」であることを指摘され、一気に現実に引き戻されたのです。

 涙も出ないほど虚無感に襲われたという、被害者の生々しい気持ちが綴られた漫画は大きな反響を呼び、「寒気が…ゾッとした」「うわぁアプリで似た流れやられたんでわかります」「何も知らなかったらハマる確率高そう…」など、たくさんの共感や驚きの声が寄せられました。

犯人とは今でもやりとり中!? その真意とは

Q.漫画を描いた理由と描き始めるまでの気持ちを教えてください。
「この漫画は被害が発覚したその日に描きました。当日は、本当につらく胸が痛くて、身体がまったく動かないような状態になってしまったんです。それでも作中で描いていますが、『漫画家を志す者としてネタに消化できないか?』という気持ちが少しだけあったんです。正直なところ、『これはネタなんだ、ラッキーじゃん』と思えば、自分の心を守れるという防衛本能から自然とそうなったように思います。なので、この詐欺に関する認知を広めたいという気持ちは後付けで、正直なところ自分のために描きました。それ以外に自分の心を守る手段は今でも分からないですね」

 
Q.犯人とは連絡を取り始めてから、お金の話になるまで何日ほどやり取りをされましたか?
「実際にお金の話が出始めたのは、やりとりを始めて3日目ぐらいでした。細かいところは描いていないのですが、最初はお互いに英語と日本語を教え合おうということで、チャットをしながら実際に電話したりもしました。今思うとすごく短い期間なのですが、気持ちが浮き足立ってしまっていて、まったく気にしていませんでした」

 
Q.警察にはいつ通報しましたか。また、詐欺と忠告された後、犯人に連絡は取りましたか?
「警察へは詐欺を自覚した次の日に行きました。当日は絶対に行きたくないと思っていたし、そんな気力もまったくなかったですが、漫画を描き終えていたので少しだけ心の整理ができていました。犯人とのやりとりは警察へ行った段階でもう絶対にするな、ブロックしなさいと忠告を受けたのですが、実はまだ続いています(笑)」

「なぜかというと、最後まで見届けてやろうという気持ちですね。日本に来ると言っていた当日になれば、何らかの形でまた新たに振り込ませようとしてくるだろうし、それでダメなら、そのまま連絡は返ってこないかな? と。それと相手はまだ、僕が詐欺だと気が付いていることは知りませんから、少しでも相手の時間を無駄にしてやろうという気持ちです。後日談としてまた発表できればな、とも考えています」

 
Q.心に残った感想を教えてください。
「実際に被害に遭われた方からの励ましや、20万円はあげられないけど……とコーヒーチケットを送ってくださった方、イラストの依頼をしてきてくださる方など、優しい方の印象が強いです。引用リツイートで心ない言葉を書き込んでいる人たちも見かけましたが、ほとんどの方は共感や、本当に拡散したくてしてくださっている人ばかりでした」

 
Q.読者へメッセージをお願いします。
「今月か来月に、『サンデーうぇぶり』に読み切りが掲載される予定なので、そちらも読んでいただけるとうれしいです。最後になりましたが、皆さん本当に気を付けてください。気持ちが落ち込んでいる時は判断が鈍ります。『自分は大丈夫』という気持ちは絶対に持たないでほしいと思います」

(Hint-Pot編集部)