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コロナ禍で視覚障害者への声かけ介助が減少 新しい方法を伝えるイラストが話題 「どうか輪を広げて」

著者:Hint-Pot編集部

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話題になった「新しい声かけ方法」のイラストの一部【絵:セツサチアキ(@setsusachiaki)さん】
話題になった「新しい声かけ方法」のイラストの一部【絵:セツサチアキ(@setsusachiaki)さん】

 人との間隔は2メートル、症状がなくても常にマスクを着用、人や物になるべく接触しないなど、コロナ禍で私たちの生活様式は大きく変わりました。多くの人が戸惑いの声を上げる中で、見過ごされてしまいがちなのが視覚障害者の方たちの“新しい生活様式”です。そこで公益財団法人 日本盲導犬協会に視覚障害者の方々を取り巻く現状についてお話を伺いました。またツイッター上で注目が集まっている、視覚障害者に対する「新しい声かけ方法」を描いたイラストについて、投稿した盲導犬総合支援センターにイラスト制作の経緯をお聞きしました。

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日本盲導犬協会が調査 マスクや盲導犬への感染懸念など多くの悩みが

 視覚以外の情報を頼りに行動している視覚障害者。日常的に人や物に触れたり、音や周りの様子を感じたりすることで生活を送っています。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行以降、人々は他人や物との接触を避けることが当たり前になりました。

 日本盲導犬協会は、5月から6月に262人の盲導犬ユーザーに電話で聞き取り調査を実施。金井さんによると「マスクをしていると、風の流れなどの肌からの感覚が普段と変わってしまう」「マスクのせいで盲導犬に指示が伝わりにくくなった」といったマスクへの悩みが少数聞かれたそう。

 また、「盲導犬に感染しないかが心配」と言った声も。動物への感染については、同協会が制作したパンフレット「どこでもWelcome~盲導犬の受け入れについて」で詳しく説明されています。そこには2020年8月時点で「犬から人へ新型コロナが感染した」という事例は報告されておらず、その可能性は極めて低いこと。また、新型コロナ感染などを理由に根拠なく盲導犬の受け入れを拒むことができないことが明示されています。

「ソーシャルディスタンスが分かりにくい」 日常生活に支障も

 同協会ユーザーサポート部の金井政紀さんによると、調査を進める中で一番多かった悩みが「ソーシャルディスタンスが分かりにくい」というものだったそうです。

「具体的には、スーパーマーケットなどで列を作る必要がある時ですね。床などに目印が付けられていることが多いですが、その位置や間隔を空けて並んでいる人の列が分からないと言った声でした。また、それほど多くはないですが『声かけがコロナ禍前よりも減ったような気がする』といった意見も。そのせいで買い物がしづらくなったと答える方もいらっしゃいました」

 介助をする際、肩や肘を掴んだり、近距離で話しかけたりするため、接触や飛沫での感染が気になる現在。支援を受ける側もする側も、もしも自分が感染させてしまったら……と悩んでいると言います。

「私が所属している日本歩行訓練士会(視覚障害者が白杖で安全に歩行できるよう指導などを行う「白杖歩行訓練士」の組織)では、8月にコロナ禍での手引き誘導のガイドラインを作成しました。そちらには基本的な感染予防対策をしたうえで、従来通りの誘導を推奨しています。詳しくはホームページでダウンロードをすることができるので確認してみてください」

 金井さんは、誘導方法で大事なことは視覚障害の方が「安全」であることであり、誘導方法は1つではないことを強調。「こうしなければいけないという型はない」と話します。

「例えば向き合っての会話が気になる場合は、盲導犬ユーザーの右側や後ろに立ち、同じ方向を向いて声かけするのも1つの方法だと思います」

 新型コロナの影響で、社会生活の常識が一変した現在、1つの方法にとらわれず、臨機応変に“声かけ”を続けていきたいものです。しかし、“声かけ”には勇気がいるもの。できれば具体的な方法を知っておきたい人も多いのではないでしょうか。