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コロナ禍で視覚障害者への声かけ介助が減少 新しい方法を伝えるイラストが話題 「どうか輪を広げて」
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盲導犬支援センターが発信 「新しい声かけ」の方法とは
そこで話題になったのが、盲導犬総合支援センターの公式ツイッター、【公式】もうどう犬 エルくん(@moudoukenLkun)が投稿した、「新しい声かけ方法」のイラストでした。これには、ケース別に「以前」と「新しいお手伝い」の声かけの仕方を並べられ、これからのサポート方法が分かりやすく説明されています。
例えば、道案内をする時。これまで介助者は肘や肩、手など、掴んでもらって誘導していました。しかし、少し前を歩き、声のみでの誘導方法があることも紹介されています。また、入店時に必須とされている場合が多い手指の消毒。備え付けの消毒液の場所を案内なく見つけることは、大変難しいそうです。気が付いたら設置場所を一言、声をかけていただくだけでとても助かるといいます。
さらに会計時にも、新型コロナ以前と比べて大きな変化が。マスクやレジ前のシートによって店員さんの声が聞き取りにくくなっているだけでなく、間隔を空けて列を作るため、足音や気配を感じることができないという問題も。どのくらいの間隔を空けて並んでいるのか、列は進んでいるのかが分からずに困ってしまうそうです。
接触が当たり前だと感じがちだった視覚障害者への介助ですが、まずは気にかけて、さらに必要に応じて声をかけることこそが、最も大切だと分かります。
最初の一言は「お手伝いしましょうか?」
盲導犬総合支援センターの富谷美奈子さんに、パンフレット制作への想いや、スムーズな“声かけ”方法のコツなどをお伺いしました。
Q.「新しい声かけ方法」のイラストの企画意図や経緯を教えてください。
「私たちはかねてより『声かけパンフ』というパンフレットを通じて、盲導犬ユーザーへのお手伝いの方法を広めています。コロナ禍でソーシャルディスタンスが推進される中、盲導犬ユーザーにとって大切な情報源である周囲の方からの“声かけ”が減ってしまっているという声を聞きました。そこで、私たちにできることとして、この状況でも変わらず周りの方へお願いしたい声かけを多くの方に知っていただきたいと思い、発信しました」
Q. 盲導犬の集中を妨げるため、あまり声をかけてはいけないのでは、と感じている人も多いといいます。声をかけてはいけないタイミングがあれば教えてください。
「私たちが『声かけパンフ』によってお伝えしているのは、基本的には、盲導犬ユーザーを見かけたら、温かく見守っていただき、『あれ、お困りかな?』と思ったらぜひ『お手伝いしましょうか?』の声かけをお願いしたいということです。その際は、犬ではなく人へ声をかけてください。また、盲導犬ユーザーの方の腕を突然引っ張ったり、犬のハーネスを掴んだりすることは危険ですのでおやめください」
Q. “声かけ”をする際に、最初の一言がなかなか出てこないという人も多いと思うのですが、おすすめの一言目を教えてください。
「声かけパンフの表紙にも大きく書いてある、『お手伝いしましょうか?』です。雑踏の中や少し離れていたりすると、声をかけられていることに気付かない場合もあるため、盲導犬ユーザーの前に立ち、声をかけてから軽く肩などを叩くと気付きやすいです」
「また、『盲導犬を連れた方』などと最初に付け加えると分かりやすいので、ソーシャルディスタンスが推進される現在においては、そのように声をかけていただくと良いかと思います。困っている様子を見かけたら気負わず、気軽なコミュニケーションを取る様に、“声かけ”を始めていただければうれしいです」
Q.ボランティアに参加する以外に、手軽にできる盲導犬や視覚障害者支援の方法があれば教えてください。
「“声かけ”はボランティアに参加していなくても、気軽にできる支援の1つです。また、お手伝いの“声かけ”を広めるため、ぜひ私たちが作成している『声かけパンフ』などを利用し、お友達やご家族など周りの方へもお手伝いの方法を共有して、一緒に『お手伝いしましょうか?』の“声かけ”の輪を広げていただければ幸いです」
また、『盲導犬サポートSHOP』では、かわいい盲導犬チャリティグッズを多数取り揃えているそう。
「皆様からの応援は、補助犬の育成及び、障がい者の社会参加の支援活動に役立たせていただきます。チャリティグッズを『使って』『プレゼントして』ぜひ私たちと一緒に盲導犬を応援してください」
(Hint-Pot編集部)