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大阪の「道修町」って読める? “薬の町”知名度向上のために有効な方法を考える
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時折話題になる「大阪の難読地名」。ネット上の「大阪の難読地名クイズ」に嬉々として挑戦し、プライドにかけて満点を取り続けていた大阪出身者は多いかもしれません。何を隠そう、大阪市生まれ&育ちの筆者もその1人。ですが、このほど動きが一瞬止まってしまう町名に遭遇しました。それは、日本最古の製薬会社が実施したアンケート調査の中に書かれていたのです……。
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「道修町」はなぜ読めないのか?
大阪に本社をかまえる田辺三菱製薬株式会社は2020年11月、主に近畿圏在住の20歳以上男女1040人に「大阪」に関するアンケート調査を実施しました。実はこの調査、今年で5年目。昨年までは少し違うタイトルだったのですが、今回は質問を増やして「大阪の認知に対する実態を調査」となりました。
前回までのタイトルは、調査の恒例となっている最初の質問で分かります。「あなたは以下の大阪の地名の読み方を知っていますか?」との内容では、以下の地名が提示されました。括弧内は「はい」と答えた人の割合です。
【あなたは以下の大阪の地名の読み方を知っていますか?】
梅田(98.1%/うめだ)
難波(97.9%/なんば)
十三(93.8%/じゅうそう)
船場(81.9%/せんば)
放出(73.8%/はなてん)
喜連瓜破(63.0%/きれうりわり)
道修町(33.3%/どしょうまち)
「簡単すぎるやろ!」とお思いの大阪出身者も多いでしょうが、正直に告白しますと、筆者は最後の地名に「あれ、これ何やったっけ?」と一瞬止まってしまいました。ほんまごめん(陳謝)。実はこの地名こそ調査のキモ。これまでの調査は、同社本社ビルの所在地、そして「くすりの町」でもある道修町(大阪市中央区)の知名度を測るものだったのです。
ちなみにこれまでの結果は、2016年度が39.0%、2017年度が39.4%、2018年度が38.3%、2019年度が35.8%。う~む、この低さは何とかせなあかん。自分のケースで考えてみると、同じ中央区の博労町(ばくろうまち)は幼少時から関係があったため自然と覚えた気がします。これもそこそこの難読地名かも?
そこで、他の地名を改めて見てみると「東平(とうへい)」や「農人橋(のうにんばし)」「松屋町(まつやまち)」など、初読では迷うであろう地名がちらほら。最後の松屋町は「まっちゃまち」と発音する地元民も多いため、物心がついてから正しい読み方を知った人がいるかもしれません。ちなみに筆者ですが。
これは一方で、耳に入っていれば子どもでも覚えるということ。となると、ここは「声を出していく」作戦が有効ではないでしょうか。読めない人が多いなら、先に読めば良いのです。「ちょっと『どしょうまち』のコンビニ行ってくるわ」「今日は車で『どしょうまち』通ってきたで」「こんにちは。『どしょうまち』から来ました」などなど、住民&関係者が1日1回口に出すだけでも、かなり違うような気がします。冗談やのうて、ほんまに本気ですよ。
道修町に関して「知っていることはない」は5割超
では、調査に戻りましょう。大阪といえば商い。大阪の代表的な産業のうち知っているものを尋ねる設問では、「代表的な産業として発展した地域・企業や歴史を知っている」と「代表的な産業として聞いたことがある」を合わせて1位が「町工場(79.9%)」、2位が「商社(68.6%)」、3位が「家電(68.5%)」、4位が「製薬(59.2%)」となりました。
一方で、道修町に関して知っていることを尋ねる設問では、「知っていることはない(52.8%)」が過半数で1位となり、「江戸時代から続くくすりの町(30.6%)」と「医薬品関連企業が多数集まる町(27.1%)」は3位と4位に。「製薬」が代表的な産業だと知っている割には道修町の知名度が低くなっています。
ここで再び筆者のケースで考えてみると、「くすりの町」という看板は確かに何度も見た覚えがあります。ただ、続く町名の記憶が薄い理由はやはり、「読み方が分からない」が大きいかもしれません。先にご提案した「声を出していく」作戦、かなり有効な気がしますが、どないでしょうか?
さて、本調査の最後は、こちらも毎年の恒例である「田辺三菱製薬は日本で最も歴史のある製薬会社であることをご存じでしたか?」で締めくくられます。今年の結果は「知っていた」は20.4%となり、同社によると過去の調査で最も高い数値だったそうです。
設問の内容はもちろん事実。1678年創業の同社は、日本で最も歴史ある製薬企業です。道修町の本社ビル内には「田辺三菱製薬史料館」を開設しており、道修町の歴史や文化などを紹介しています。ここを見学すれば、全国の人でも「ちょっと『どしょうまち』の博物館行って来たんだけどさ」とさりげなく“声に出す”ことができるかも? 筆者も大阪出身者として、次回帰省時の見学を心に誓いました。いや、ほんまに行きますよ。
(Hint-Pot編集部)