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旬の菜の花をポテトとサラダに LA在住ナチュラリストが教えるアブラナ科野菜の魅力

公開日:  /  更新日:

著者:小田島 勢子

ポテトと菜の花(ラピニ)のサラダ。彩りも華やか【写真:小田島勢子】
ポテトと菜の花(ラピニ)のサラダ。彩りも華やか【写真:小田島勢子】

 米ロサンゼルスの片田舎で夫と娘3人、鶏、豚、犬たちとともに自然に囲まれた生活を送る小田島勢子さん。発酵食品作りの講師をはじめ創作料理のケータリング、プロアスリートの身体作りのアドバイザーなどさまざまな分野で活躍しています。今回のテーマは「アブラナ科」の植物たち。食材としても身近なアブラナ科について、家族キャンプが習慣の勢子さんがトレイルで見た群生の様子やおいしいレシピなどをご紹介します。

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ロサンゼルスの丘一面に咲き誇るラディッシュやマスタードの花

 ロサンゼルスはサマータイムがスタート。日が長くなり、気温も暖かい日々が多くなってきました。春めいて動物たちが活動的になると同時に、ここロサンゼルス州でもコロナ禍で続いていた規制が緩和され、子どもたちの声が公園に響き渡っています。

 週末の度に場所を変えて家族でめぐるトレイル(登山やトレッキングのための遊歩道)もまた、どこも春色。木陰や丘の頂上で休憩のため腰を下ろすと、夫とは「ここで布団を敷いて寝たら最高に気持ち良いだろうね」といつも同じ会話になります。

 先日行った自宅近くの丘では、尾根に続くトレイルから辺りの山々を一望できます。群生するラディッシュ(大根)とマスタード(からし菜)が山肌一面に所狭しと花を咲かせ、そんなトレイルを歩くと足取り軽くどこまでも行ける気が。

トレイルからの眺め【写真:小田島勢子】
トレイルからの眺め【写真:小田島勢子】

 花の形が似ていることから、我が家の子どもたちは大抵の場合、どの植物が仲間同士かを感覚で分かるようです。子どもの観察力に驚くこともしばしばあります。

●アブラナ科の植物について
 ラディッシュとマスタード。この2つはアブラナ科の代表的な植物で、何気なく私たちの食卓に登場する頻度が多い野菜と同じ仲間でもあります。

 日本では小松菜やキャベツをはじめ、ブロッコリー、大根、白菜、カブ、水菜、クレソン、ワサビなど。米国でよく見かける芽キャベツやケール、コールラビ、カリフラワー、マスタードリーフなどもまた、アブラナ科の野菜たちです。

春はデトックスの季節 アブラナ科の栄養素にも注目

マスタードの丘を行く【写真:小田島勢子】
マスタードの丘を行く【写真:小田島勢子】

 この身近な野菜たちには、私たちにとって実はとても大切な栄養素や役割があります(甲状腺ホルモン系疾患がある方はアブラナ科の摂りすぎにご注意ください)。

 代表的な成分はピリッとした辛み、苦みのもととなるイソチオシアネート。キャベツなどアブラナ科の野菜や種が外敵から身を守る際に作ると言われています。

 イソチオシアネートは虫たちにとってとても嫌なものですが、抗酸化作用や抗菌作用、抗がん作用、肝機能の向上などの作用があると言われ、現代人にはうれしい成分です。すったり切ったりして刺激を与えた時や、食べる時の消化酵素と反応して活性化します。

 ただし、熱には弱い傾向があるようなので(成分が半減するようです)、できるだけ生でいただく方が良いと思います。例えば、おろしたての大根やワサビ、菜っ葉の漬け物やザワークラウト、マスタード。加熱調理する際もさっと時間をかけず、茹でたり炒めたりすることをおすすめします。

 また、アブラナ科の野菜にはセレンという成分が含まれるものも多くあります。セレンはビタミンEと摂ることで水銀の毒素を抑える働きと酸化防止作用が強まるそうです。

 春はデトックスの時期。冬にため込んだ老廃物を排出し、抗酸化作用を含むアブラナ科の食材を彩り良く、おいしく摂り入れることができるのはとてもうれしいことです。