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浅田真央さんの参加で知名度アップ 革新的な防犯活動「パトラン」誕生の背景とは

著者:Hint-Pot編集部・山内 亮治

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赤いウェアに身を包みランニングで町を見守るパトラン【写真提供:認定NPO法人改革プロジェクト】
赤いウェアに身を包みランニングで町を見守るパトラン【写真提供:認定NPO法人改革プロジェクト】

 懐中電灯などを手に、蛍光色のベストや腕章を着用した高齢男性が集団で練り歩く……。「防犯パトロール」と聞けば、そんなイメージを抱く人は多いでしょう。しかし、ランナーが参加する新たな防犯活動が、全国的なムーブメントとなっていることをご存じでしょうか。その名も「パトラン」。地域の安全を守るその試みは何をきっかけに生まれ、参加者へどのようなメリットをもたらしているのか。運営団体で理事を務める栗原咲子さんに話を伺いました。

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ランナーが町を見守る目になればいいのでは…

 町の防犯「パトロール」に「ランニング」がかけ合わされた造語「パトラン」。その名が示す通り、ランニングを通じて行われる新たな防犯活動です。2012年、「認定NPO法人改革プロジェクト」(以下、改革プロジェクト)によって福岡県宗像市でスタートしました。ただ、この活動が生まれる背景には1つの悲しい事件が。

 改革プロジェクトは2010年の発足当初、「子どもたちが裸足で走れる環境を作りたい」との思いから同地の海辺で清掃活動を開始。団体代表の立花祐平さんを中心に3人という小規模で活動を続けていましたが、2012年に女性メンバーが不審者の被害に遭ってしまいました。自分たちの町でもこんなに痛ましい事件が起こってしまうのか……。そう心を痛めた立花さんはさらなる被害を生まないよう、いわゆる“従来型”の防犯活動を開始しました。

 ただ活動を始めたのは良いものの、ここで問題が。防犯活動は地域における安全の目としてあくまで犯罪抑止に重きが置かれるもので、トラブルシューティングを前提としたものではありません。「何も起こらないこと」こそ、活動における最大の成果と言えます。そのため、モチベーション維持の難しさもあってか徐々に仲間が減り、活動に支障が出るようになりました。

 そんな時、ふと目についたのが「ランナー」の存在。こういう人たちが町を見守る目になれば良いんじゃないか――。その気付きを元に「パトロールランニング」の活動が生まれました。そうして子どもや女性が安心して暮らせる地域社会の実現を目指して始まった「パトラン」。改革プロジェクトの理事を務める栗原咲子さんはその最大の魅力を「一石三鳥」と説明します。

「『街頭犯罪の抑止』はもちろんですが、参加者にとっては『健康増進』だけでなく地域での『仲間作りと居場所作り』、これらを1つの活動で同時に叶えられるんです」

 特に地域での仲間作りに魅力を感じる参加者は多いようで、栗原さんいわく「ウェブサイトで知るよりも、知り合いから口コミで活動を教えてもらい参加するランナーが多い」そうです。