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浅田真央さんの参加で知名度アップ 革新的な防犯活動「パトラン」誕生の背景とは
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全国40都道府県で計2100人の「パトランナー」が活動
「パトラン」は九州から徐々に活動範囲が広がっていきました。そして2014年、大きな転機が訪れます。住友生命保険相互会社が主催する日本の若い世代による社会貢献活動応援プロジェクト「YOUNG JAPAN ACTION』で、初代大賞を受賞したのです。
「そして翌年には、同賞のアンバサダーに就任していた元フィギュアスケート選手の浅田真央さん(当時は現役)が福岡県宗像市で実際にパトランに参加してくれました。この様子がメディアで取り上げられた後、『自分もやりたい』と全国から声が聞かれるようになったんです」
そして、これまでに累計7万2000人以上がパトロールに参加。現在、40都道府県で計2100人ほどが「パトランナー」として登録し、全国に16の認定チームがあります。ただ、著名人が参加したからとはいえ、ここまでの全国的な展開は難しいはず。この背景にはずばり、参加にあたっての「ハードルの低さ」があるといいます。
「パトランの参加の際には、パトランユニフォームのみ自費で購入いただきますが、入会金などは必要ありません」
こう説明する通り、参加にあたって必要なプロセスは赤い「パトランTシャツ」(寄付付き6000円・寄付なし3000円)を購入し、メンバー登録とフェイスブックの会員限定コミュニティに参加するのみ。これで個人での参加が可能に。また、認定チームが住まいの近くにある場合、問い合わせの上パトランチームに所属して活動するという選択肢も。
ちなみに、パトランがシンボルカラーをその色にした理由は、「ウルトラマンを筆頭にヒーローのイメージカラーが赤だった」ことが決め手になったそう。
「ラン」は必須にあらず 「パトウォーク」でも大丈夫
参加方法が簡単といっても、気になるのは運動を続けられるかということ。活動の時間やランニング自体の強度はどの程度なのでしょうか。
「チームや複数人での場合、初参加の方もいらっしゃるので簡単な自己紹介から始め、ランニング後に感想を話し合ったりしても1時間以内で収まります。実質的なランニングの時間は3~40分程度ですね」
ランニングをするといっても、決して長時間ではないとのこと。そして、必ずしも「ラン」をしなくても良いそうです。
「活動の中ではゴミ拾いも推奨していますから『パトウォーク』していただいても結構です。そのため、最高齢だと70歳代の参加者もいらっしゃいます」
こうしてパトランでは、子どもの下校時間にあたる午後3時から午後5時、帰宅途中の女性や塾帰りの子どもが多い午後8時から午後11時という2つの時間帯をメインに、地元行政や警察などとも連携しながら活動を展開しています。
ただ一方で、モチベーションを維持できるかということも活動においては重要です。この点についてはどのようなアプローチが取られているのでしょうか。
「昨年『パトランAWARD』という表彰制度を新設しました。活動の実施回数や時間などの実績に応じてメンバーを表彰します。改革プロジェクトとしては現在、活動への称賛を意識的に取り組んでいます」
無理なく始めることができ、活動成果への表彰制度もあるパトラン。後編では、女性メンバーの参加やコロナ禍での活動について話を伺います。
(Hint-Pot編集部・山内 亮治)