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ランニングによる防犯活動「パトラン」が女性4割の理由とは コロナ禍で新たな発展も

著者:Hint-Pot編集部・山内 亮治

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コロナ禍で始まった「シンクロパトラン」

コロナ禍によって離れたグループや個人同士をオンラインでつなぎ活動する「シンクロパトラン」が始動【写真提供:認定NPO法人改革プロジェクト】
コロナ禍によって離れたグループや個人同士をオンラインでつなぎ活動する「シンクロパトラン」が始動【写真提供:認定NPO法人改革プロジェクト】

 そうして女性の活躍も目立つパトランですが、コロナ禍によって大きな影響が出ました。活動の基本はリアルに対面しながら複数人でパトロールをすること。しかし、コロナ禍では避けるべき「密」が生まれてしまいます。そこで、最初の緊急事態宣言発令時は新規入会を制限する事態に……。栗原さんは当時の葛藤を振り返ります。

「パトランの母体『改革プロジェクト』には『すべての人々に居場所と役割があり、心豊かに暮らせる社会』というビジョンがあり、それをスポーツによって実現するためにランニングの機会を提供しています。コロナ禍で孤独化が進み、もがいている人は多いはずでしたが、やはり新規メンバーを増やすことにはリスクがありました。このため、コロナ禍以降も活動自体が続く中、既存のメンバーの方々に頑張ってもらう方向に重点をシフトしました」

 実際にパトロールする場合も、単独もしくは少人数での活動とし、マスク着用や体調不良であれば活動は行わないといった感染対策が講じられました。輪の広がりや活動そのものに制限がかかった一方、新たな活動の形が生まれたといいます。

「コロナ禍でも既存メンバーの間では『シンクロパトラン』を実施していました。これはメッセンジャーやZoomで離れたグループや個人同士をつなぎ、時間を決めて活動するというものです。物理的に大人数で会うことはできなくても、オンラインによる新たな形での活動が定期的に行われました」

地域における次の担い手作りへ

「シンクロパトラン」が始まって以降、オンラインの活用はパトロール以外の面でも活動に寄与しているそうです。

「リアルで会うことに限界がある今、オンラインでの交流を目的とした形に活動自体がシフトしていっています。そこでは参加者同士の仕事の話から始まり、パトランをする上での考えや活動の改善点といった意見が活発に交わされるようになりました。防犯という本質からは少しずれるかもしれませんが、パトランとしての『コミュニティの発展』が見られるようになっています」

 コミュニケーションの増加は「同じ志のもとで頑張っている仲間がいると知ってもらえる」ことにつながるため、「活動のモチベーション維持において果たす役割は大きい」といいます。そうして活動が続いていくことによる今後について、栗原さんは展望を語ります。

「防犯パトロールに関して一番の課題に挙げられるのが『地域の担い手作り』です。防犯活動を行う人は現在、どうしても60代から70代と高齢の方が多く、担い手不足が否めません。一方で、パトランナーは30代から50代の働き世代がほとんどですから、こうした人たちが次の地域の担い手になっていってほしいと思っています」

 また、パトランでは現在、一部地域で民間企業と協力して「AI犯罪予測アプリ」の開発を進めるなど、新たな取り組みも行っています。地域の新たな担い手を生む活動として期待されるパトラン。ランニングから始まった革新的な防犯パトロールが今後、日本各地でどのような進化を遂げるか楽しみですね。

(Hint-Pot編集部・山内 亮治)