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「ありがとうね」最後に聞こえた母の声 50代姉妹が挑んだ在宅介護の4年間
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「最期の時間は、住み慣れた我が家で送りたい」――家族に望まれたら、あなたならどうしますか? 終末期(死期が近づいた時期)を家で過ごしたい、家族に看取ってほしい、そう願う方は多く存在します。しかし、自宅での介護は家族への負担が多く、決して楽なものではありません。今回は、自身が後悔しないために在宅介護の道を選んだ女性の体験談をお送りします。
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一人暮らしをする80代後半の母親が自宅介護を強く希望
今回お話を伺ったのは、埼玉県にお住まいの香川治子さん(仮名・58歳)。3人の子どもを育て上げ、「これからは自分の時間を満喫しよう」と思っていた矢先、離れて暮らしていた母親が倒れました。
「母は80代後半に入っていて、『そろそろ真剣に同居も考えなければ……』とは思っていました。とはいえ、母は自分で小さな畑を耕し、元気いっぱいに暮らしていたので『まさか』という気持ちが湧いてきたのを覚えています」
母親の病気は、軽い糖尿病とCOPD(慢性閉塞性肺疾患)。COPDは男性に多い疾患ですが、長年の喫煙が招いた結果ではと、治子さんは推測しています。
「母はタバコが本当に好きで、何を言っても止めようとしませんでした。『タバコを止めるくらいなら死んだ方がマシだ』なんて軽口を叩いていたのですが、まさか、本当にそうなるとは思ってもいなかったでしょうね」
母親を入院させ、通いながら様子を見ることにした治子さんでしたが、見舞いに行く度に「家に帰りたい」と懇願されるようになりました。
「母は『帰りたい』、『畑が心配』、『お父さん(故人・夫)にお茶をあげないといけないのに、こんなところに閉じ込めるなんてひどい』と、涙をこぼしながら訴えるんです。家に帰ったところで、動ける状態ではないのでどうにもならないのですが……」
病院で死にたくない。最期は家で迎えたい。
そう強く願う母親を見て、治子さんはついに在宅介護を決意。介護しやすいよう、2週間かけて実家を簡易リフォームしました。
「夫と相談の上、しばらくの間、私だけ母の家に“単身赴任”することになりました。独身の妹も実家に帰ってきてくれたので、2人で母の介護をすることになったんです」