仕事・人生
介護うつの母 寄り添っていたはずの30代娘が子どもの頃から家族に抱いた「心の闇」に気付く瞬間
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認知症の父と向き合う筆者が綴る連載「アラフィフ娘の明るい介護」。免許返納や自転車“盗難”、そして入院など、これまで父の介護で直面したことや率直に感じたことなど赤裸々に記してきました。すると、記事を読んだ友人が「実は私も……」と悩みを打ち明けてくれました。彼女はまだ30代前半。すでに実家から出て1人暮らしをしています。両親はご健在。しかし両親と同居する祖父が認知症を発症したことで、母親が退職し介護をすることに。それがきっかけで彼女自身、兄や弟ら家族に抱いていた「闇」の存在に気付いたといいます。一体何が起こったのでしょうか?
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母方の祖父が認知症に 仕事を辞めて母が自宅介護を
「実は私も、介護で悩んだことがありまして……」と重い口を開いた友人は、次のように話し始めました。
私の両親は、母方の祖父母と一緒に暮らしていたのですが、祖母は3年くらい前に亡くなりました。思えばそのあたりから、祖父の言動がちょっとおかしくなっていきました。病院でようやく検査を受けたのが一昨年。そこで、祖父が認知症であることが分かりました。
ほどなくして、頻度は少なかったのですがたまに徘徊をするようになり、迷子になって警察のお世話になることが増えていきました。祖父を預かってくれる高齢者向けの施設がないか探してみたのですが「要介護1」ということもあって、現状入れるのは民営の値段が高いところばかり。
そこで、父母ともにフルタイムで働いていましたが、月に何十万円もの出費は現実的に厳しいので、仕方なく母が会社を辞めて自宅で祖父の面倒を見ることになったんです。
母は、地元の小さな建築会社で事務をし、大の男たちに発破をかけるほど気が強いんですよね。「おじいちゃん1人の介護くらい、何とでもなるわよ!」と最初のうちは豪語していました。でも、慣れない介護にみるみる疲弊していったんです。