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美馬アンナさん「心に刺さる」 義足の球児が障害持つ子の親に伝えたいこととは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

高校時代は年に2本の義足を使用「親に無理を言って1本自費で作ってもらった」

アンナ:私のインスタグラムに、曽我さんと同じように義足を使いながら野球をしている中学生の親御さんから「接合部が蒸れてかゆくなる」「力がうまく入らない」といった悩みが届きました。曽我さん、アドバイスをいただけますか。

曽我:資料を拝見すると、ソックス状のカバーをつけるタイプの義足ですね。僕は5年くらい前から使っていますが、もし選べるのであればシリコン製のカバーをつけるタイプに変えると、蒸れや汗、傷、かゆみは軽減できるかもしれません。

シリコン製のカバーは足の接合部にピッタリ密着するので、蒸れた時の不快感はほとんどありません。僕が子どもの頃は、歩くことを目的とした義足で運動をしていましたが、よくあの義足で走っていたと思います。

アンナ:義足にもいろいろな種類がありそうですね。

曽我:日常生活で歩くことを目的としたものや、義足の中にカーボン製のプレートが入っていて走りやすいもの、親指と人差し指の間に溝があってビーチサンダルを履けるものもあります。

僕は感覚が変わるのが嫌でしばらく同じタイプの義足を使っていましたが、今のタイプの義足にして「なんでもっと早くこれにしなかったんだ?」と思ったくらいでした。

アンナ:現役時代に出会っていたらどうなっていたんでしょう。プロ野球選手になっていたかもしれませんね!

曽我:すごい選手になっていたかもしれないです(笑)。

アンナ:この中学生の男の子も、小さい頃から同じタイプの義足を使っているようです。

曽我:今はたくさん種類がありますし、インターネットでもカタログが見られるので、義肢装具士さんと話をしながらいろいろ試してみるのもいいかもしれません。ただ、足がどのくらい残っているかによっては使えない義足もありますし、市町村によって補助金の額や頻度も違うと思います。

義足は割と高価なものですし、補助は年に1回というところが多いと思うので、新しいタイプに変えても合わないとなっても、次の年まで同じ義足を使うことになる可能性もあります。僕が高校生の時は毎日部活をしていたので、さすがに補助が出る1本では1年もたなくて、親に無理を言って1本自費で作ってもらい、なんとか2本で1年を過ごしていました。

アンナ:合わない義足を使い続けるのはつらいですね。

曽我:作る時に仮あわせをして歩いてみたりしますが、重心が少しずれるだけでも膝の部分に隙間ができたり、しっくりこなかったりします。何度も歩きながら微調整を繰り返すとはいえ、実際には毎日長時間使わなければ分からないこともあるので。あとはやっぱり、義足も壊れることがあります。

今、使っているカーボンタイプのものは、自分の身長や体重でカーボンの硬さを決めますが、運動強度が高い動きをすると割れてしまうので、僕は一番硬いタイプを使っています。野球の試合中にバキッと折れてしまったこともありましたね。

アンナ:子どもが成長するに従って運動強度も変わるでしょうし、義肢装具士さんに相談したり、必要であればセカンドオピニオンを聞いてみたりするのもいいかもしれません。