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認知症への不安は「お金のこと」「介護してくれる人がいない」 コロナ禍でリスクは上昇
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コロナ禍により提唱される「ニューノーマル」。新しい生活様式として受け入れる流れは構築されていますが、人々の生活に訪れている実際の変化はどのようなものでしょうか。生命保険会社が男女1000人を対象にした調査によると、運動やコミュニケーションの減少が明らかになりました。また脳科学の第一人者は、認知症のリスクが高まる懸念があると指摘しているそうです。
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デジタル機器利用者は孤独感やストレスを感じやすい傾向 「デジタル認知症」のリスクも
アクサ生命保険株式会社は先日、2020年12月に実施した「ニューノーマルと認知症に関する意識調査」の結果を発表しました。対象は20~60代の男女1000人です。まず、新型コロナウイルス流行前と比べて「利用・頻度が増えたこと」と「減ったこと」を尋ねる設問から見てみましょう。
【新型コロナウイルス流行前と比べて利用・頻度が増えたこと】
1位「動画視聴」(32.1%)
2位「家での食事」(30.2%)
3位「通販・ECサイトの利用」(27.7%)
4位「料理をする」(25.6%)
5位「ビデオ会議・通話などのオンラインコミュニケーション」(23.5%)
【新型コロナウイルス流行前と比べて利用・頻度が減ったこと】
1位「旅行する」(56.6%)
2位「外食する」(55.2%)
3位「実際の対面によるコミュニケーション」(51.7%)
4位「外出を伴う買い物」(39.8%)
5位「カラオケなどで歌を歌う」(34.4%)
外出自粛によって在宅時間が長くなり、人と会う機会が減った状況がはっきりと現れています。誰にとっても納得の結果ではありますが、同社は「運動量や対話による刺激が低下している傾向」を指摘。研究により、認知機能の維持・向上に重要なポイントは「頭を使うことで脳の前頭前野の血流が上昇(=活性化)すること」だと分かっているそうです。
脳トレの第一人者で株式会社NeU 取締役CTO(最高技術責任者)の川島隆太博士によると、前頭前野はリラックスした状態で活性化しないと考えられており、何らかの目的を持った行動と合わせて脳を積極的に使うことが必要なのだとか。
また、デジタル機器の使用も、前頭前野の血流が低下して働きに抑制がかかるとのこと。なぜなら、視覚にかかわる「後頭葉」と聴覚にかかわる「側頭葉」ばかりが使われるからだそうです。こうした状態が毎日続くと、認知機能が次第に低下し、長期的には認知症リスクを高めることが懸念されるそうです。
対面での会話や普段と異なる経験など、やはり脳には適度の刺激が必要なようです。体の運動不足はよく話題に上りますが、脳もある意味では“運動不足”なのかもしれませんね。