仕事・人生
認知症の父の財産管理に四苦八苦 アラフィフ娘が直面した問題とは
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超高齢社会の日本――2025年には5人に1人が認知症になるとも言われています。3年前、70代前半で認知症を発症した父を持つ筆者からすると、残念ながら認知症は「自然災害」のようなものだと感じています。できることをコツコツと行う――これが、認知症患者と付き合うためのセオリーなのかもしれません。父に寄り添い始まったのが連載「アラフィフ娘の明るい介護」です。今回は、父の代わりに行う財産管理について。いざ始めたは良いものの、さまざまな困難が立ちはだかりました。現在進行形ですが、赤裸々に綴りたいと思います。
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父と会えない日々 それでもお金の問題は降りかかってくる
2021年3月。コロナ禍で思うように父に会えないまま、怒涛の1年が過ぎました。週に1度、母が父の着替えを病院に届けてくれるので、近況を多少聞くことができましたが、顔を合わせることはできず、家族としてもむなしい思いを抱えての1年となりました。
同様に認知症を患った家族がいる方も、皆、悩みは同じ。会えない。好きなお菓子の差し入れもできない。手を握ってあげることもできない……。そんな寂しさを抱えていることでしょう。
だからといって、嘆いているだけではいられないのが「家族」です。父の認知症が判明してから、金銭面の管理や整理を始めたのですが、我が家は非常に苦労をしました。父は自身で会社を興して経営していたためです。会社のことについて、母はもちろん、結婚をして家を出ていた兄も私もまったくノータッチでした。
そのため、まずは「誰かに借金をしていないか」。ここに一番の重点を置いて調べ始めたのです。こうして私たちは、父の部屋をひっくり返すように書類を確認することに。とりあえずは借金がないことが分かり、一安心。また、その時に分かったゴルフの会員権や仕事に関する保険、そして携帯電話などはすべて解約をしました。
「これでもう大丈夫かな」
そう思ったのもつかの間。母から「お父さんが火災保険に入っているらしいんだけど、どうすればいいのかしら?」との連絡が入りました。聞いてみると、火災保険の通知が届いたそうなのですが、解約しようにも印鑑類がありませんでした。何とそれらは、父がどこかで紛失してしまったカバンの中にあったのです。
日本はハンコ社会。携帯を解約する際にも「何でこんなに面倒くさいの!?」と思ったほどで、金銭が関わるとそれ以上に大きな壁となって立ちふさがるのです。