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エリザベス女王にキャサリン妃…なぜ今も“コード付き電話機”? 英国人らしい理由とは

著者:森 昌利

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エリザベス女王【写真:AP】
エリザベス女王【写真:AP】

 今やすっかり定着した感もある英王室のビデオ公務。通話画面に映るエリザベス女王たち王族の姿も見慣れてきた状況だが、固定電話を使った公務の様子を見るとふと気付くことがある。「その電話、まだ受話器にコードが付いているの?」。何と女王は今も懐かしい“ダイヤル式電話”を使用して、ボリス・ジョンソン英首相らと会談するという。また、ウイリアム王子やキャサリン妃も、コード付きの黒い電話機を使っている。これは一体なぜなのか? そこにはクオリティにこだわる、いかにも英国人らしい理由があるのだ。

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一度愛用したものは壊れて使えなくなるまで使うという伝統

 英大衆紙「デイリー・メール」が掲載した記事によると、固定電話機の多くがコードレスとなった現在でも、エリザベス女王をはじめとする王室メンバーは旧来のコード付きを使っているという。

 先週に開設されたウイリアム王子夫妻のYouTubeチャンネルでも、2本目の投稿動画にキャサリン妃がコード付き電話機を使って話す写真が登場している。ちなみに撮影された時期は昨年11月だ。

 しかし、なぜなのか。王室作家のフィル・ダンピエ氏は同紙に対し、王室には「一度愛用したものは壊れて使えなくなるまで使うという伝統があるからです」とその理由を明かした。これぞまさに“長持ちこそクオリティ”という感覚を持つ英国人らしい素敵な伝統だろう。

 ブリティッシュトラッド・ファッションのお手本とも言えるチャールズ皇太子が、すり切れたジャケットのポケット部分に“つぎ当て”をして着用し続けていることも有名だ。

 英国貴族階級の休日ファッションでおなじみのツイードなどは非常に丈夫な生地で、最初の着心地こそ固いが、数年にわたって着続けることで体になじみ、捨てがたい味が出てくるという。

 また英国の高級靴はグッドイヤー・ウェルト製法で作られ、アッパー部分とソール部分が分解できる仕組みだ。ソール部分を張り替えれば、足になじんだ靴を長く履き続けることができる。

 物を大切にする英国貴族の伝統を、その頂点となる王室が守っているのは素晴らしいこと。それにこうした精神は今後、環境保護の観点からも重要と言えるだろう。

(イギリス・森昌利/Masatoshi Mori)