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ヘンリー王子「軍隊で特別扱いなし」発言も矛盾か 公式伝記本は“王室側の配慮”を記述

公開日:  /  更新日:

著者:森 昌利

ヘンリー王子とエリザベス女王【写真:AP】
ヘンリー王子とエリザベス女王【写真:AP】

 メンタルヘルスに焦点を当てたドキュメンタリーシリーズで、軍隊生活の10年間が「人生で最も幸せな時だった」と語ったヘンリー王子。「皆と同じ制服を着て、同じトレーニングをして、同じように最下級から始めた」「私が誰(王子)だからと特別扱いはなかった」と、その日々を振り返った。しかし、ヘンリー王子の軍隊生活における重要な決定にはエリザベス女王たちの「関与があった」という。

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王子本人が取材に応じた伝記本の記述と不一致?

 王室作家のアンジェラ・レヴィン氏は、2017年にヘンリー王子の公式伝記本「Harry:Conversations with the Prince(ハリー:王子との会話)」を出版。執筆の際にはもちろん実際の取材を行なっており、生身のヘンリー王子から話を聞いた人物だ。

 英大衆紙「デイリー・エクスプレス」は、軍隊時代に「私が誰(王子)だからと特別扱いはなかった」とする王子の発言がこの著作と一致していないことに注目。王子の軍隊生活における派遣先で、エリザベス女王が決定的な役割を果たしたことが記されているという。

 06年に陸軍士官学校を卒業した王子は、ブルーズ・アンド・ロイヤルズ近衛騎兵連隊に入隊。07年2月にイラク派遣が発表された際は、「派遣されなければ除隊も考える」と上官に伝えていたとする報道もあった。だが、敵側勢力が「ロイヤル(=ヘンリー王子)を標的にする」と宣言したことで、派遣はやむなくキャンセルされた。

 この決定に王子は声明で失望の意を表明。参謀総長と上官はアフガニスタン派遣を約束した。そこで、王子のイラク派遣希望を肯定していた女王の出番だ。英国君主は軍隊の最高司令官でもあることから、最終的な決定権を有している。女王は参謀総長と何度か会談し、王子のアフガニスタン派遣を実現させたという。

 この女王の配慮により、王子は07年末からアフガニスタンへ。ただしこの際は、報道規定が破られたため早めの帰国となった。だが、その後も軍隊生活を続け、12年にも同地に再派遣されたのは周知の事実だ。

 一介の兵士だった場合、祖母たちが介入して派遣先を変えることはできない。そのため「特別扱いはなかった」という王子の主張には、このところ批判の対象になっている王室非難と同様、やや思い込みが強い印象を受けてしまう向きもあるだろう。

 ちなみにレヴィン氏は先に、ドキュメンタリーシリーズでの王子がセラピーを受けたきっかけとしてメーガン妃を挙げたことに、はっきりと異論を唱えていた。同氏は公式伝記本の取材で、受ける決定の背後に妃の存在はあったかと質問していたという。

 そこで王子は「いいえ、(受けるよう促したのは)ウイリアム(王子)でした」と返答。このため「彼は私に(取材当時)事実ではないことを述べたか、事実ではないことを現在述べているかのどちらかです」と、きっぱり断言していた。

(イギリス・森昌利/Masatoshi Mori)