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子どもが性的なことに関心を抱き始めたら? 親が知っておくべきこととは

公開日:  /  更新日:

著者:yoshimi

教えてくれた人:OliviA

インターネットが身近になった状況は性教育にも影響(写真はイメージ)【写真:写真AC】
インターネットが身近になった状況は性教育にも影響(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 性との向き合い方に悩む読者の皆さんから寄せられたご相談に、ラブライフアドバイザーのOliviA(オリビア)さんが優しく回答するこの連載。今回のテーマは【子どもへの性教育】です。新たな価値観の中で生きる今の子どもたちに向けて、親世代が伝えるべきこととは? OliviAさんと一緒に「子どもの世界を知ってからの性教育」を考えてみませんか。

 ◇ ◇ ◇

親世代とはまったく異なる環境にいる子どもたちに向けた性教育とは

【今回のお悩み1】
「子どもが性的なことに関心を抱き始めたようです。性教育を学校任せにして良いものでしょうか? しっかりとしたモラルを持ってもらうために、親がすべき性教育はありますか?」(Fさん)

 親世代と今の子どもたちとは、まず環境がまったく違うということ。今の子どもたちは幼少期からインターネットにアクセスし、中学進学のタイミングで自分専用のスマホを持つ子が多いようです。

 動画を検索しているうちにポルノや偏った性情報にたどり着いたり、好奇心から性の話題に簡単にアクセスしたりできる環境。そういった子どもの世界を知った上で、今の性教育について考えてみたいなと思います。

今はインターネット上で性行為が行われている時代

 実は現在も、学習指導要領に基づいた学校の性教育では“性交”が何かを具体的に教えていません。性教育の専門家を外部講師として招いて踏み込んだ性教育を行っている学校もありますが、通っている学校によって受ける性教育にばらつきがあるようです。

 今年4月から「生命(いのち)の安全教育」という“子供の性被害や性暴力対策を強化するため”の教材と指導の手引きが作成されましたが、教材の活用方法は地域や各学校に委ねられています(「生命(いのち)の安全教育」の資料は文科省のサイトからダウンロードできます)。

「生命(いのち)の安全教育」とは、幼児期から大学生まで発達段階に応じた内容です。具体的にいうと幼児期では“プライベートゾーン”の認識。プライベートゾーンを人に見せたり、触らせたり、逆にむやみに触ってはいけないことから始まります。

 中学生ではデートDV、インターネットトラブルについて取り上げ、高校・大学生向けになると性暴力の具体例や相談先が紹介されています。それでも、学校での性教育はまだ現実からやや遠い状況と言わざるを得ないかもしれません。

 また、親密になった関係ではインターネット上で裸の写真やマスターベーションをしている動画を送り合うこともあります。これはすでに性行為の1つであるとも考えられ、子どもたちの間では、実際に触れ合わなくてもネット上で性行為が始まっているという状況なのです。

性教育とメディアリテラシーをセットで伝えていきたい

 成人女優がSNS上で12歳のふりをして友達募集するというチェコのドキュメンタリー映画『SNS 少女たちの10日間』が話題になっています。これは現代の子どもたちが直面する危険をそのまま映し出している映画です。

 12歳のふりをした女優のもとに、男性器の写真を送ったり、マスターベーションしている姿を見せ付けてくる……。送ってきた人の中には実際に捕まった人もいますが、彼らは「写真やオンラインで見せただけ。実際に会ってないから実害はない」と主張しています。

 でも、これは大人から子どもへの性虐待で性暴力。受け取った子どもたちからしてみれば、かなりショックですし、心の傷になりかねません。その後の人格形成に影響することも考えられます。また、こういった状況では、子どもたちが自分の裸の写真や動画に価値がある、それと引き換えに大人からお金がもらえるということを早い段階で知ってしまう可能性もあります。

 ですので、性教育とメディアとの付き合い方、メディアリテラシーをセットで伝えていくことが大事なのではないでしょうか。性被害から子どもたちを守るためにも、性教育を学校任せにしないこと。子どもたちの接している世界を親が知ることから始めてみる。そういった意識が必要なのかなと思います。