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エリザベス女王はチャールズ皇太子を支持 「アンドリュー王子の公務復帰ない」と専門家

公開日:  /  更新日:

著者:森 昌利

エリザベス女王とアンドリュー王子【写真:AP】
エリザベス女王とアンドリュー王子【写真:AP】

 エリザベス女王が次男アンドリュー王子を溺愛しているというのは有名な話。ところが近年、勾留中だった2019年に死亡した米国人実業家ジェフリー・エプスタイン被告との交友関係に注目が集まり、先月8月9日にはバージニア・ジュフリー(旧姓ロバーツ)さんに17歳の時に性的虐待を受けたとして損害賠償を求める民事訴訟を起こされた。そこで、王室作家が「女王がチャールズ皇太子の(アンドリュー王子の公務追放)決定を覆すことはあり得ない」と発言し、話題になっている。

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エリザベス女王に愛されているアンドリュー王子 訴訟の行方は

 エリザベス女王は1948年に長男チャールズ皇太子、1950年に長女アン王女を出産したが、1952年には父親ジョージ6世が56歳で崩御。弱冠25歳で女王に即位したことで、夫フィリップ殿下との関係は一時微妙となったという。しかし、最終的には和解し、1960年に次男アンドリュー王子が誕生した。

 このため女王は、愛の象徴でもあるアンドリュー王子を非常にかわいがっていると伝えられてきた。しかし王子は近年、ジェフリー・エプスタイン被告との交友関係に端を発したスキャンダルに見舞われ、公務から完全撤退。さらに先月はバージニア・ジュフリーさんから損害賠償を求める民事訴訟を起こされた。

 この訴訟は米国内の裁判所で英国人を訴える形になるため、関連条約に従い裁判文書(訴状と召喚状)の“適切な送達”が必須。一時は文書の受け取りを拒否して夏期休暇中の女王が滞在するバルモラル城へ「逃げ込んだ」とも報じられた一方、原告側は裁判所に“送達”を報告していたことが判明した。しかし米国時間13日に行われた最初のヒアリングでは、王子側の弁護士が“適切な送達”は行われていないと主張している。

「彼の世間知らずで傲慢な性格の表れ」と王室作家

 英大衆紙「デイリー・メール」が掲載した記事によると、王室作家のアンジェラ・レヴィン氏は現地時間14日、英ラジオ局「Talk Radio」の番組に出演。「(エリザベス)女王がチャールズ皇太子による(アンドリュー王子の公務追放)決定を覆すことはあり得ません」と改めて発言し、スキャンダルに揺れる次男王子の公務復帰を完全否定した。

 チャールズ皇太子の次男ヘンリー王子の自叙伝作家としても有名なレヴィン氏は、エリザベス女王の滞在先へ駆け込んだアンドリュー王子が「2~3日もすればすべてが『吹き飛ぶ』と言っていたようですが、それも彼の世間知らずで傲慢な性格の表れでしょう。この(当時の未成年者に対する性犯罪起訴)問題がそう簡単に吹き飛ぶわけがありません」と語り、「そんな彼がプラチナ・ジュビリー(エリザベス女王の在位70周年記念イベント)前に公務へ返り咲くことなどあり得ません」と断言した。

 確かに、アンドリュー王子との時間を楽しみ、今も非常にかわいがっているという女王でも、公務復帰までさせれば王室が本格的な批判対象になるのは明白だ。ヘンリー王子の暴露と非難に並び、最近のロイヤルファミリーには“次男王子が危機的な問題を生み出す”という偶然が重なっている。

(イギリス・森昌利/Masatoshi Mori)