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英国王室を彩った花々が絵画で咲き誇る シャーロット王妃ゆかりの作品100点が来日

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・西村 綾乃

展示会場。ボタニカルアートと一緒に、自然教育園で咲く花の写真も並ぶ【写真:Hint-Pot編集部】
展示会場。ボタニカルアートと一緒に、自然教育園で咲く花の写真も並ぶ【写真:Hint-Pot編集部】

 ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産に登録されている英国の王立植物園「キューガーデン」。そこで育成された花木などを描いたボタニカルアート(植物画)を展示する企画展「キューガーデン 英国王室が愛した花々 シャーロット王妃とボタニカルアート」が、9月18日から東京都庭園美術館(東京都港区)で始まりました。全100点の展示作品の中には、エリザベス女王の紋章の中にも描かれている「テューダー・ローズ」を描いたものも。花びら一枚一枚がみずみずしく、甘い香りが漂ってくるようです。シャーロット王妃が愛した花々などを通じて英国を感じてみませんか。

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「ウェッジウッド」の「クイーンズウェア」も展示

 英ロンドン南西部に位置する「キュー王立植物園(キューガーデン)」は1759年にジョージ3世の母、オーガスタ皇太子妃が宮殿併設の庭園として造ったのが始まりです。1760年に王位を継承したジョージ3世は、その翌年にシャーロット王妃と結婚。そこから庭園の規模は拡大しました。132ヘクタールある園内には現在、3万種類以上の植物、1万4000本以上の樹木が植えられており、世界最大級の植物園として親しまれています。

 企画展では、同園が所蔵する22万点以上のボタニカルアートの中から100点を展示。植物を科学的な視点から描いた作品の中には、植物愛好家だったシャーロット王妃の旧姓「ストレリチア」を学名に持つ南アフリカ原産の「ゴクラクチョウカ」(フランツ・バウワー画、1818年)も含まれています。

 国立科学博物館附属自然教育園が隣接する立地を生かし、植物画とともに自然教育園で見ることができるアヤメやカキツバタなどの写真を並べる工夫も。植物画の他には、シャーロット王妃が気に入り王室御用達となった陶磁器メーカー「ウェッジウッド」のシリーズ「クイーンズウェア(女王の陶器)」や愛用の家具など約30点も展示されています。

ボタニカルアートで癒やしを

キューガーデン初代専属画家、フランツ・バウアーの作品。中央の「ゴクラクチョウカ」はシャーロット王妃の旧姓を学名に持つ【写真:Hint-Pot編集部】
キューガーデン初代専属画家、フランツ・バウアーの作品。中央の「ゴクラクチョウカ」はシャーロット王妃の旧姓を学名に持つ【写真:Hint-Pot編集部】

 17日に開催された内覧会で館長の樋田豊次郎さんは「17~18世紀における啓蒙思想の中で、シャーロット王妃が好んだ植物(画)はボタニカルアートに、ウェッジウッドなどの製品は産業発展を支える力になりました。王妃が文化を開いていく様子を感じてもらえれば」と呼びかけました。

 企画展を担当した学芸員は「コロナ禍の大変な時ですが、花に囲まれていると幸せな気持ちになります。いらしていただいたお客様にとって安らぎの時間になれば」と願いを込めていました。

 開館は午前10時~午後6時(入館は閉館の30分前まで)で、月曜日休み。入館料は一般1400円、大学生(専門学生など含む)は1120円。中学生と高校生、65歳以上は700円。入館は日時指定・事前予約制で11月28日まで。詳細は公式サイトで確認を。

(Hint-Pot編集部・西村 綾乃)