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富司純子「もし希望になるのなら」 映画界の若手支援企画に出演を決めた理由とは
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寒風吹きすさぶ浜辺で横たわる…かつて見たことがない富司純子
どのように出演交渉を行ったのだろう。三島監督いわく、「脚本の狙い、どんな作品にしたいか、このプロジェクトに自分が参加した意味を、お目にかかって直接ご説明しました」とのこと。
「このプロジェクトは映画人に希望を持ってもらいたいという趣旨で始まったもの。映画を撮ることが難しい中で、映画を作ってくださいと言ってもらえることがそもそも希望です。私が参加することで後輩の演出部の皆さんにも機会を作ることができるならと参加しました」と話すと、富司は「そうなの。希望なの」と答えたそうだ。
そして「映画の方たちは今とても苦しんでいると思います。私が出ることでもし何か希望になるのであれば参加します」と語り、受けてくださったという。
『DIVOC-12』は、コロナ禍で活動の機会を失った映画人のために作られた基金を発端に、3人の監督たちが彼らよりあとに活動をスタートさせた気鋭の映画監督に制作の機会を作るために参加した企画だ。
そして、この企画がスタートしたために、その映画に出演する俳優、そして映画のスタッフにも、仕事の機会が作られた。SNSではないが、物事は何かをきっかけに始まるのだ。始まりとなるきっかけの重要さ、そしてそれを後押しする大きな力が、停滞していた物事を陽のもとへと押し出していく。
言うなれば富司の決断は大きな力だ。
『DIVOC-12』10月1日(金)全国ロードショー 製作・配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(c)2021 Sony Pictures Entertainment(Japan)Inc. All rights reserved.
(関口 裕子)
関口 裕子(せきぐち・ゆうこ)
映画ジャーナリスト。「キネマ旬報」取締役編集長、米エンターテインメントビジネス紙「VARIETY」の日本版「バラエティ・ジャパン」編集長などを歴任。現在はフリーランス。