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10月2日は豆腐の日 歴史やおいしい食べ方、保存のコツなどを栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

豆腐は大豆の消化吸収率が高い

原料の大豆は良質なタンパク質を含んでいる(写真はイメージ)【写真:写真AC】
原料の大豆は良質なタンパク質を含んでいる(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 豆腐は消化しにくい大豆の栄養素を吸収しやすくしています。大豆の消化吸収率は煮豆で60~70%、納豆やみそで80~85%、豆腐は95%と、調理や加工により上昇。製法の違いにより、豆腐の中でも水分が抜けた木綿豆腐は同じ量でもタンパク質や脂質がやや多くなりますが、注目される栄養素はほぼ変わりません。

 原料の大豆の栄養で最も多いのはタンパク質。体を作るために大切な役割を担う栄養素です。大豆はタンパク質の栄養価を化学的に評価するスコア「アミノ酸価」が最高値の100。必須アミノ酸がバランス良く含まれた良質な植物性タンパク質を含んでいることから、「畑の肉」とも呼ばれています。

 大豆の脂質には必須脂肪酸の一つオメガ6系の不飽和脂肪酸であるリノール酸やリン脂質のレシチンが豊富。血中のコレステロールを上昇させにくい効果が期待できるとされ、生活習慣病の予防に注目されています。また骨粗しょう症や更年期障害の症状、男性の前立腺がんなどの予防効果が期待できるイソフラボンも見逃せません。

 豆腐の凝固剤の一つとして使用される「にがり」は、海水から塩を除いたあとに残った液体のこと。ミネラルが豊富で、ナトリウムの排出を促すカリウムをはじめ、骨や歯の成分になるカルシウム、カルシウムの吸収を助けるマグネシウムなどが含まれます。

冷蔵でも冷凍でも 保存のコツ

 開封して残ってしまった豆腐の保存は、「水に浸して」が基本。保存容器(ボウル)に豆腐を入れてひたひたの量の水を入れたら、フタ(ラップ)をして冷蔵します。購入時に入っていたパックを使用する場合は、水を入れ替えてぴっちりと上からラップをしましょう。

 冷凍保存も可能です。適度な大きさに切ってラップに包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ。調理する際は電子レンジで解凍して、ぎゅっと水を絞ります。手で細かくちぎって炒り豆腐にしたり、カレー味でドライカレー風やトマト味でボロネーゼ風にしたりするなど、お肉のような食感を楽しめます。

豆腐に合うものといえばしょうゆ? 他にもおいしい食べ方が

これからの季節は栄養たっぷりのおいしい鍋料理も(写真はイメージ)【写真:写真AC】
これからの季節は栄養たっぷりのおいしい鍋料理も(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 豆腐にしょうゆをかけるシンプルな食べ方は定番ですが、モズク酢や缶詰のツナ、瓶詰めのナメタケをのせてもおいしくいただくことができます。あっという間に副菜が一品できてしまう手軽さもうれしいですね。

 合わせる食材は、腸内環境の改善や免疫力アップを意識して選ぶと良いでしょう。例えば旬の秋サケは、タンパク質をはじめ免疫力をサポートするビタミンDを多く含みます。シイタケやシメジ、マイタケなどのキノコ類は、ビタミンDに加えて腸内を整える食物繊維が豊富です。

 この他ビタミンA、C、Eを多く含む野菜などを入れると、バランスが良い食事になります。栄養たっぷりのおいしい鍋料理で食卓を囲むのも良いですね。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾