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「ドラゴン桜」で注目の志田彩良 『かそけきサンカヨウ』に見る大成長を遂げそうな理由

著者:関口 裕子

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(c)2020映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会
(c)2020映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会

 阿部寛さん主演のドラマ「ドラゴン桜」(TBS系)で偏差値70の生徒役を演じ、注目を集めた志田彩良(しだ・さら)さん。7月に22歳を迎えたばかりですが、映画の世界でも出演最新作の『かそけきサンカヨウ』で主演を務めるなど、すでに順調なキャリアを築いています。その魅力は何と言っても、役のリアリティを自然と感じさせる存在感。一目見ると世界に引き込まれてしまう部分からは、今後の大成長が大いに期待されるそうです。映画ジャーナリストの関口裕子さんに解説していただきました。

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一筋縄では行かない人間の感情 巧みに描く監督の作品で光る22歳

 俳優にはさまざまなタイプがいる。例えば場の熱を集め、その熱量を使っていささか強引に観客の心を持っていくタイプ。バトルアクションなどに向く演じ方かもしれない。

 でもヒューマンドラマでそれをやったら逆効果だ。嘘くささを感じさせ、むしろ観客の気持ちは離れてしまうだろう。なぜなら人は喜怒哀楽、それぞれ一つの感情で動くわけではなく、さまざまな感情を同時に抱く生き物だから。

 例えば最悪な事態に直面した時。恐怖や悲しさのあまり涙したとしても、所在なくただ号泣するわけではない。この事態をどう解決したらいいのか頭をフル回転させているというのがリアルなのではないか。

 そんな風に一筋縄では行かない人間の感情の機微を描くのが抜群にうまい映画監督がいる。『愛がなんだ』(2019)などの大ヒット作を持つ今泉力哉監督だ。そして、そんな今泉監督作品に、少しずつ表情を変えて参加する若い気になる俳優がいる。窪美澄の短編小説を映画化した監督の新作『かそけきサンカヨウ』に主演する志田彩良、22歳だ。

 志田が演じるキャラクターは、人々の感情のそれぞれに、生きた反応を示す。本当に生を持ってそこに存在しているかに思え、彼女を見つめているうちに映画の世界にふと引き込まれている。華はあるが、派手ではない。でも登場した瞬間、記憶に刻まれ、ありきたりな言い方だが“目が離せない”。

小学校6年生でスカウトされ芸能界へ

 たぶん多くの方が志田を知るきっかけになったのは、「ドラゴン桜」(2021・TBS)の小杉麻里役だろう。小杉は、発達障害を持つ幼なじみ、原健太(細田佳央太)をかばい続ける優等生。抜群に優秀であるゆえ東大受験を勧められるが、家庭環境に問題があり、就職を希望する陰のある少女だ。

 志田は小学校6年生の時にスカウトされ、芸能界に入った。それまでも声をかけられることはあったものの、食指が動かず固辞してきたという。突然興味が湧いたのには、きっと志田なりのポイントがあったのだろう。ドラマや映画を観るのが好きだと言っているので、もしかすると心動かされた作品があったのかもしれない。

 2013~15年まで少女向けファッション誌「ピチレモン」の専属モデルを務め、2014年にオーディションで得た短編映画『サルビア』で初主演デビューを飾る。

 今泉監督とは、映画『パンとバスと2度目のハツコイ』(2018)で出会った。以降、ドラマ「his~恋するつもりなんてなかった~」(2019・メーテレ)、舞台「街の下で」(2019)、ミュージックビデオ「失敗の歴史」(マヒトゥ・ザ・ピーポー・2019)、『mellow』(2020)と立て続けに出演。間もなく公開される『かそけきサンカヨウ』では主人公の国木田陽を演じている。