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ピーク期は1日2500個超を販売 元デザイナーが“おはぎ”を作り始めた理由とは

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著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

日頃の疲れを癒やすことができる、オアシスみたいな場所になりたい

元テキスタイルデザイナーの森さんだけに細部までこだわったお店【写真:Ryousuke Yano】
元テキスタイルデザイナーの森さんだけに細部までこだわったお店【写真:Ryousuke Yano】

 大阪・豊中に最初の店舗をオープンしてから11年。味と見た目のかわいさにこだわって、今でもおはぎは一つひとつ手作り。大阪の北新地、谷町に新店舗をかまえ、月に数回は大阪周辺にある百貨店にも納品、販売数も増えました。今年9月のお彼岸時に作ったおはぎは1日2500個以上。それでも、連日売れ切れる人気です。

 その要因を森さんは「味と値段に見合って、手頃に買えるのが皆さんに喜んでいただけているのかな」と考えています。

「見た目のかわいさもあって『お土産として持っていって喜ばれる』と言われたこともあるのですが、やはり自分自身は、おはぎって自分に買って食べるおやつだと思うんです。だから手頃でおいしくないと買わない。特に大阪の方はすごくシビアなので、味と値段が見合っていないものに対してとても厳しいんです。おはぎは元々、お彼岸に家庭で作ったり、近所のおばあちゃんが作って持ってきてくれたりするとても身近なおやつでした。そうしたこともあって、できるだけ身近なおやつでありたいと思っているんです」

季節限定の「焼き栗黒米もち」。中に栗きんとんを挟み込み、バーナーであぶって焼き栗のような香ばしさをプラス【写真:Ryousuke Yano】
季節限定の「焼き栗黒米もち」。中に栗きんとんを挟み込み、バーナーであぶって焼き栗のような香ばしさをプラス【写真:Ryousuke Yano】

 おはぎ=身近なおやつ。そう考える森さんだからこそ、実現したい夢があります。それは「買いに行く場所が行きたくなる、寄りたくなる場所になれたら」ということ。

「『森のおはぎ』というだけあって、ちっちゃな森に行っておはぎを買うような、おはぎを作って売っている空間自体を癒やされるような場所にしたいんです。例えば、果実を植えて収穫した実で何かを作るとか、訪れた人のライフスタイルに少し関われるような環境があるお店。日頃の疲れを癒やすことができる、オアシスみたいな場所になれたらと思っています」

 デザイナー時代、疲れた体を甘いおはぎが癒してくれたように、森さんは自分が作ったおはぎでたくさんの人々に癒やしと幸せを与えています。

◇森百合子(もり・ゆりこ)
美大卒業後、テキスタイルデザイナーとして寝具の柄デザインに従事。その後、染色工場で柄に色を指定する仕事を就いていた際、元々おはぎが好きだったことからおはぎ屋さんの夢を持つ。イベントへの出品に向けて試行錯誤の末、こだわりが詰まった唯一無二のおはぎを考案。2010年に念願の「森のおはぎ」を出店した。店頭には定番の5種類と季節限定の3種類が常時並ぶが、連日早い時間帯で売り切れるほどの人気店に成長。おはぎ職人として勤務する一方、大阪で3店舗を経営する経営者でもある。

(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)