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酉の市の熊手 買い方の作法はまず値切ること? 持ち帰る時に“高々と揚げる”理由とは
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11月の酉(とり)の日、関東を中心とした各地の鷲(おおとり)神社で執り行われる祭礼には「酉の市」が立ちます。酉の日とは十二支の酉にあたる日。今では新年の商売繁盛や開運招福を願う行事の日である、縁起物がたくさんついた熊手が売られます。2021年の酉の日は2回、11月9日と21日です。その由来やお作法を紹介します。
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酉の市は江戸時代から盛んに
酉の市は関東を中心にした風物詩です。諸説ありますが、江戸時代に花又村(現在の東京都足立区)の祭礼で、近隣の農民たちが秋の収穫を祝って神社にニワトリを奉納したのが始まりとも言われています。
この市で農具の熊手を売ったところ、「運をかき込む」「福をとり(酉)込む」縁起物として人気に。商売繁盛や開運招福を願って熊手を買う人々が増え、新年への願いを込める初冬の風物詩になっていきました。熊手の他には出世の願いを込めて「頭の芋」と名付けた里芋の一種や「黄金餅」と称した粟餅が売られ、こちらも縁起物として親しまれています。
十二支で数える酉の日は12日ごとにめぐってきます。11月の1度目を「一の酉」、2度目を「二の酉」、3度目を「三の酉」と呼びますが、「三の酉」まである年は火事が多いという言い伝えがあり、寒くなって火を使う時期に火の用心を呼びかける意味もあるようです。2021年は一の酉が11月9日、二の酉が11月21日で、三の酉はありません。
熊手に飾られる縁起物でさらに福をかき込む
酉の日に販売される熊手には、縁起物がたくさん取り付けられています。中心の飾りとして多いのが「お多福(おたふく)」、または「おかめ」とも呼ばれる伝統的な飾りです。下ぶくれで愛想のある顔立ちが福を多く招く面相とされています。この他、七福神や宝船、千両箱など縁起物の代表格が飾られる熊手も。一般的な飾りは次の通りです。
○鶴
長寿の象徴。「鶴は千年」と言われ、吉祥の鳥とも言われています。
○だるま
転んでも立ち上がる姿が勝利を意味する縁起物。赤色は魔除けの意味も。
○招き猫
一般的に右の前足を上げていると「金運」、左の前足を上げていると「縁」を招くとされ、商売繁盛の願いが込められています。
○タイ
「目出鯛(めでたい)」からお祝い事には欠かせない縁起物。
○俵
五穀豊穣を祝い、食への感謝を意味する縁起のいいもの。