仕事・人生
「女性は話が長い」と聞いて自分のことかと…ドムドム社長の考える“自分らしさ”
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さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットライトを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。今回は、政治家の妻から39歳まで専業主婦、その後はアパレルショップ店長と居酒屋女将を経て、「ドムドムハンバーガー」などを運営する「ドムドムフードサービス」で代表取締役社長にキャリアアップした藤崎忍さん(後編)です。将来の目標は立てたことがないという藤崎さんにとって、道を切り拓くカギとなった「こだわらない心」について伺いました。(藤崎さんの崎は「たつざき」の「崎」)
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主婦から社長へ 藤崎さんが考える「女性の社会進出」とは
政治家の妻、専業主婦として過ごしていた藤崎さん。夫が病に倒れたのをきっかけに、生活のために働き始めたのは39歳の時でした。それから16年経った今では、新たなチャレンジで消費者の関心を惹き付けるドムドムフードサービスの社長として手腕を振るっています。
この間、「SHIBUYA109」のアパレルショップ店長や居酒屋の女将などを経験しましたが、常にその基礎にあったのは「主婦の経験」だったといいます。
「109では店長になって1年後には売り上げが20%ほどアップしましたが、お店の中を整理整頓したり、掃除したり、汚れたカーテンを付け替えたりしただけ。家の中を片付けるのと同じ感覚でした。あと、主婦は夫や子どものスケジュールを管理しながら、効率良く家の中を回していきますよね。まさにショップのシフト管理と同じ。やはり39歳まで主婦でしたから、そこがベースになっています」
政治家の妻として、どうすれば有権者から応援してもらえるのかを考えながら行動した経験も然り。どうしたら多くのお客様が通ってくれる居酒屋になれるのか、どうしたら消費者に支持されるブランドになれるのか、そのヒントを与えてくれました。
「選挙は本当にボランティアで成り立っているもの。ボランティアの方々に心地よく活動していただける、そのベースを作るのが私の役目でした。なので、来てくださる方が何を思って来てくださるのか、自然と考えながら行動するようになっていました」
「主婦としての経験がなければ今はなかった」という藤崎さん。社長に就任して以来、女性の社会進出について意見を求められる機会が増えたといいます。
「必ず言っているのは、会社に行くことだけが社会への進出ではないということ。別に社長になったことが活躍だとは思っていません。私は夫が亡くなるまで一生懸命介護をしていましたし、子育てもしました。家族の衣食住を整え、家庭を守ることは並大抵のことではありません。
私の妹は専業主婦ですが、義弟の海外赴任であちこちに暮らしながら、たくましく子育てをするわけです。引っ越しの準備も大変な中、何か国にも暮らすなんて、すごいし素晴らしい。これを活躍と言わずして何と言うのかなと思うんですよね」