どうぶつ
車いすを乗りこなし…天国から今も勇気を届ける元保護犬 教えてくれた大切なこととは
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前飼い主による壮絶な虐待 傷を乗り越え始まった幸せな日々
ニコニコ笑顔が愛らしく、温厚なルーさんですが、お迎えされるまで壮絶な半生を過ごしてきました。譲渡会のスタッフの話によると、ルーさんは元の飼い主から虐待を受けて育ったといいます。
「バケツに溜まったお水がごはん代わりで、近所の人からごはんをもらっていたそうです。10センチほどしかないとても短いリードで係留されていたらしく、出会った時には声が出ませんでした。医師からはこの係留が原因で声帯がつぶれ、声が出せなくなったと思われると聞いています。一度は里親会に引き取られましたが、すぐに連れ戻され、また元の日々になったことも。しかし、やまない虐待を近所の方々が見かねて、当時の飼い主さんが留守だった時に現里親会へ連れてきてくれたと聞いてます」
心身ともに深い傷を負ったルーさんをお迎えするにあたり、飼い主さんはしっかりとしたフォローが必要だと覚悟を決めていたそう。ところが、飼い主さんの優しさに触れたルーさんは、すぐに“安心できる場所”だと理解したのでしょう。お迎え初日から大の字で寝るという大胆な寝姿を見せてくれました。
「まるで『前からこの子はうちの子だったよね?』という感じで堂々としていました。とはいえ、生活を始めてみると時折、怯える様子を見せることもありました。例えば、レジ袋を広げるため上下に振った時のバサバサとした音や、竹ぼうきのような長い棒を手にした瞬間、散歩中に聞こえてくる工事のトントンという音に対してかなり敏感になることも。しかし、日に日にそうした怯えも薄れていきました」
過去のつらい経験を感じさせないほど、「穏やかで優しい子」。ルーさんの性格を語るには、その一言に尽きるといいます。こうして幸せな時間をともに過ごしていた飼い主さんでしたが、ある時にルーさんを病が襲います。