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カキが“海のミルク”と言われる理由 “カキの日”に知りたいおいしい豆知識
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教えてくれた人:和漢 歩実
今がおいしいカキ。生はもちろん、フライにしたり焼いたり、そして鍋にしてもおいしいですね。カキは古くから食べられており、世界では古代ローマ時代、日本では縄文時代にはすでにカキとみられる二枚貝が食されていたとされています。11月23日は「牡蠣の日」(全国漁業協同組合連合会が制定)。記念日にちなみ、カキについて栄養士の和漢歩実さんに聞きました。
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日本では縄文時代から 世界では紀元前から食されていたカキ
人々は古くからカキのおいしさを楽しんでいたようです。縄文人が遺した貝塚の出土品から考えると、当時食べられていた貝の中で、カキはハマグリに次いで多いといわれています。世界に目を向けると、紀元前の古代ローマ時代にすでに初歩的な養殖が行われていたとされているほど深い歴史があります。
世界中に100種類ほど分布し、日本では「真ガキ」と「岩ガキ」の2種類があります。一般的に「カキ」といえば、「真ガキ」のことを言います。夏場には大ぶりな殻が特徴の「岩ガキ」が出回りますが、秋から蓄え始めたグリコーゲン(糖質)量が最も多くなる「真ガキ」は、これからの冬場がおいしいシーズンになります。
カキは1日にドラム缶1個分、約200リットルの水を吸い込み、その中にいるプランクトンを食べて大きくなります。したがって育つ「水」がポイントになります。波が静かで水のきれいな内海がある広島県や宮城県などがカキの養殖で有名ですね。
「食べてはいけない」月とは? 欧米や日本での言い伝え
欧米では、英語で「R」が付かない月はカキを食べてはいけないと言われています。5月から8月までが、呼び名に「R」が付かない月です。日本では「花見過ぎたらカキ食うな」との言い伝えもあります。これはカキの産卵期が6~9月で、旨みの素であるグリコーゲン(糖質)を大量に使ってしまい、身が細くなり味が悪くなるからです。
ちなみに、フランスでは1960年代に寄生虫などでカキの養殖が壊滅的な打撃を受けたことがありました。その後、宮城県からカキの提供を受けて救われたといわれています。2011年には、東日本大震災と津波で大打撃を受けた宮城県のカキ養殖に、「フランスお返しプロジェクト」としてフランス財団から復興の支援金が送られました。カキがつないだ「絆」と伝えられました。