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カキが“海のミルク”と言われる理由 “カキの日”に知りたいおいしい豆知識

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

カキの代表的な栄養価とおいしい食べ方

 乳白色をした身の色や、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素を牛乳のようにバランス良く含むことから、カキは“海のミルク”と呼ばれています。ちなみに夏が旬の「岩ガキ」を“海のチーズ”と呼ぶこともあります。

 今が旬のカキの栄養価を日本食品成分表2020年版(八訂)で見ていきましょう。100グラムあたり(可食部、生)では、タンパク質6.9グラム、炭水化物4.9グラム、脂質2.2グラム、ミネラルではカルシウム84ミリグラム、亜鉛14ミリグラム、鉄2.1ミリグラムなどです。

 特に味覚や成長に必要な亜鉛が豊富で、厚労省が推奨する成人男性(18~74歳・11ミリグラム)と成人女性(18歳以上・8ミリグラム)の1日の必要摂取量を100グラムで超えます。生食する際にレモン汁をかけることがありますが、レモンに含まれるビタミンCによって亜鉛や鉄の吸収率がアップ。カキは1粒で8~15グラムほどといわれています。目安にしましょう。

 また皮膚や粘膜の健康に関係するビタミンA(レチノール)、血液を作るのに重要な役割を果たすビタミンB12、疲労回復で注目されるタウリン(アミノ酸)が含まれていることでも知られています。

加熱や水に弱い栄養素も 調理法でエネルギー量が変わる

鍋料理なら汁ごといただき、カキの旨みも栄養もたっぷりと味わいましょう(写真はイメージ)【写真:写真AC】
鍋料理なら汁ごといただき、カキの旨みも栄養もたっぷりと味わいましょう(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 生でも、煮ても、焼いてもおいしいカキですが、水溶性ビタミンであるB12は、茹でたり煮たりするよりも、炒めたり揚げたりする方が損失は少ないでしょう。寒い季節においしい鍋やスープであれば、汁まで飲むので栄養をたっぷりといただけます。

 ビタミンやタウリンは熱に弱いため、生で食べる方が余すところなくいただけます。100グラムあたりのエネルギー量で比べると、生は58キロカロリーと低めですが、水煮は90キロカロリー、燻製オイル漬けは288キロカロリー、フライは256キロカロリー。フライやオイル漬けは脂質量がアップするので体重が気になる人は、ほどほどの量を心がけましょう。

生食用と加熱用の違いは「鮮度」ではない

 一般的に店頭で販売されているカキには「生食用」と「加熱用」があります。この2つは鮮度の違いで区別されているのではありません。ウイルスの検査などを行い指定された海域で獲れたものが「生食用」で、獲った後に洗浄されます。その指定海域以外で獲れたものが「加熱用」。味が濃くおいしいともいわれていますが、間違っても生では食べないでください。

 カキの食中毒の原因は、主に細菌やノロウイルスといわれています。中心部が85~90度で90秒以上加熱すると死滅するとされているので、加熱用のカキは十分加熱して食べましょう。また触った手でキッチン用品や他の食品を扱わないようにして、手をよく洗うのも予防のコツです。海の恵みをおいしくいただきましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾