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知ってそうで知らない勤労感謝の日 新嘗祭との関係は? 「いただきます」の由来も解説

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

11月23日までは「新米を慎む」習わしも

古くから日本人にとって大切な秋の恵み(写真はイメージ)【写真:写真AC】
古くから日本人にとって大切な秋の恵み(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 もう一つ、秋の収穫に感謝する行事として「神嘗祭(かんなめさい)」があります。こちらは新嘗祭より前の10月に伊勢神宮(三重県伊勢市)で行われる恒例のお祭りです。その年に収穫された新穀を捧げて五穀豊穣を祈ります。同じく新穀を捧げる新嘗祭では、その後に新穀を「食す」点が主な違いです。

 つまり、新嘗祭の時に初めてその年の新米を食べることになるので、「新嘗祭の前までは新米を食べてはいけない」と考えられるようにもなりました。神様より先に食べるのは恐れ多いという思いから、新嘗祭までは「新米を慎む」のが習わしだそうです。

 機械や技術の進歩により、現在は早いところで9月頃に新米が手に入ります。しかし昔は人の手でやっていたため、稲穂を刈って天日干しにし、お米にするのに2か月はかかったといいます。つまり、9月に稲刈りをしても新米が出回るのは11月。ちょうど食べられるのが新嘗祭の頃だったのも関係しているかもしれません。

「いただきます」で感謝の気持ちを

日本の文化「いただきます」(写真はイメージ)【写真:写真AC】
日本の文化「いただきます」(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 日本の文化で、ごはんを食べる前の挨拶として「いただきます」の言葉があります。語源には諸説ありますが、元は物を頭(頂)の上にのせることを意味する「頂く」にあるようです。そこから食べる時の挨拶として「いただきます」になった説が知られています。

「いただきます」には、2つの感謝の意味が込められているといわれています。1つ目は食事を作ってくれた人や食材を運んでくれた人、育ててくれた人、獲ってきてくれた人への感謝、2つ目は「命をいただく」ことへの感謝です。肉や魚、野菜や米にも命があり、その命を譲ってくれた生き物に尊敬の念を示し、「いただきます」と手を合わせて頭を下げます。

 新嘗祭や勤労感謝の日の11月23日をきっかけに、食に感謝する気持ちを改めて意識したいですね。

【参考】
「いただきますのむこうがわ」(農林水産省、2020年)
 https://www.maff.go.jp/j/kanbo/genkiitadakimasu/attach/pdf/genki-16.pdf

(鶴丸 和子)

鶴丸 和子(つるまる・かずこ)

和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
インスタグラム:tsurumarukazu