食
ボタンにモミジ…日本では何肉を指している? 「いい肉の日」にジビエの豆知識
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:和漢 歩実
代表的なジビエ「イノシシ」と「シカ」の栄養価
イノシシとシカ(ニホンジカ)の主な栄養価(100グラムあたり)を、肉料理でよく食べられる牛モモ(和牛肉、脂身つき)や豚モモ(脂身つき)、豚ロース(脂身つき)と一緒に日本食品成分表2020年(八訂)で見ていきましょう。
○エネルギー量(キロカロリー)
イノシシ:244、シカ:119、牛モモ:235、豚モモ:171、豚ロース:248
○タンパク質(グラム)
イノシシ:18.8、シカ:23.9、牛モモ:19.2、豚モモ:20.5、豚ロース:19.3
○脂質(グラム)
イノシシ:19.8、シカ:4.0、牛モモ:18.7、豚モモ:10.2、豚ロース:19.2
山中を駆けめぐるシカは、タンパク質が多く脂質が少ないため低エネルギー。イノシシはエネルギー量が比較的高く、脂質も多めですが、動脈硬化や血栓の予防で注目される多価不飽和脂肪酸を多く含んでいるのが特徴です。
○鉄(ミリグラム)
イノシシ:2.5、シカ:3.9、牛モモ:2.5、豚モモ:0.7、豚ロース:0.3
○ビタミンB1(ミリグラム)
イノシシ:0.24、シカ:0.20、牛モモ:0.09、豚モモ:0.90、豚ロース0.69
○ビタミンB2(ミリグラム)
イノシシ:0.29、シカ:0.35、牛モモ:0.20、豚モモ:0.21、豚ロース0.15
○ビタミンB6(ミリグラム)
イノシシ:0.35、シカ:0.60、牛モモ:0.34、豚モモ:0.31、豚ロース:0.32
○ナイアシン(ビタミンB群、ミリグラム)
イノシシ:5.2、シカ:6.9、牛モモ5.6、豚モモ6.2、豚ロース7.3
ビタミンB1から下はいずれも補酵素です。B1は糖質、B2は脂質、B6はタンパク質の代謝に関係します。ナイアシンは三大栄養素をエネルギーに変える代謝、特にアルコールのエネルギー代謝と深く関わっています。シカの肉にはタンパク質の他にB6やナイアシン、鉄が多く含まれています。
調理の注意点やおいしく食べるコツ
ジビエは生ではなく十分に加熱して食べることが大切です。一般的に75度以上で1分間以上の加熱が必要と言われています。E型肝炎ウイルスや腸管出血性大腸炎などの食中毒には十分に注意しましょう。
イノシシ肉はじっくりと煮込むほどやわらかくなると言われています。脂質が少ないシカ肉は火を通すとかたくなりやすいため、弱火でじっくり焼くと良いでしょう。
どちらも独特の臭みがありますが、下ごしらえで牛乳に浸すと臭みがやわらぎます。みそを使ってイノシシ肉の臭みを取る方法も。また、市販のハーブやスパイスミックス調味料などを使うと、下味もつくので手軽です。
肉の中心部まで熱が通りやすい鍋料理は、ジビエ料理に自宅で初挑戦する人に向いています。またビタミンやミネラルが豊富な野菜と一緒に食べることで、栄養バランスの取れた食事に。これからの寒い季節、アツアツのジビエ鍋を楽しむのも良いでしょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾