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蜜入りりんごの“蜜の正体”は?  甘いりんごの見分け方を栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

蜜入りりんご(写真はイメージ)【写真:写真AC】
蜜入りりんご(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 高級りんご「サンふじ」の初競りでは、最高級の特選(10キロ、28個入り)が100万円で落札されることもあるなど、りんごは人気の高い果物の一つです。そしてその旬は長く、これからいろいろな種類が店頭に並び、ますますおいしい季節を迎えます。りんごの蜜や表面のべたつきの正体、おいしい見分け方やカットのコツなどを栄養士の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

    目次

  1. りんごの蜜はおいしさの目安
  2. 甘いりんごといえば蜜入り?
  3. おいしいりんごの見分け方
  4. 表面のべたつきの正体は?
  5. カットの仕方もさまざま
  6. 多くの品種があるりんご 食べ比べも楽しみましょう

りんごの蜜はおいしさの目安

 切ったりんごに蜜が入っているとうれしいですよね。この状態は、おいしさの目安ともいわれる「蜜入り」と呼ばれています。琥珀色をした蜜の成分は「ソルビトール」という糖が細胞にたまったものです。

 りんごはバラ科の植物だとご存じでしたか? 光合成によって葉で作り出された糖質(炭水化物)は、酵素の働きによって糖とアルコールが結合した甘味成分のソルビトールに変化します。ソルビトールの甘さは砂糖の半分ほどですが、果実に貯蔵される時は多くが砂糖の約1.7倍の甘さを持つ果糖などになります。

甘いりんごといえば蜜入り?

蜜が入っているかは切ってみるまで分からないもの(写真はイメージ)【写真:写真AC】
蜜が入っているかは切ってみるまで分からないもの(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 その後、成熟が進むと細胞内に糖が飽和した状態になって細胞内に入る余地がなくなり、そのままの形で果実の細胞と細胞の間に入ります。これが「蜜」の正体です。果糖は冷やすことで、より甘く感じます。甘いのがお好みの方は冷やして食べると良いでしょう。

 収穫後にしばらく保存しておくと、蜜が果肉に吸収されて見えなくなることもありますが、甘さは変わりません。蜜が入っているりんごは全体として糖度が高くなり、甘いものが多いと言えます。

 ただし、蜜はりんごの品種すべてに発生するものではありません。一般的に「ふじ」や「デリシャス」に蜜が入りやすいと言われていますが、表面の状態からは判別しにくく、実はカットするまでは分からないものなのです。

おいしいりんごの見分け方

甘酸っぱい香りが強いりんごも甘い可能性が高い(写真はイメージ)【写真:写真AC】
甘酸っぱい香りが強いりんごも甘い可能性が高い(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 店頭にたくさん並ぶりんご。多くのスーパーマーケットでは購入者が直接選ぶ方式です。選ぶ際は次の3つを確認してみましょう。

おいしいりんごの見分け方

  1. 表面
    皮にハリがあるもの

  2. 全体が色付き、緑色が残っていないもの

  3. 左右対称で重みがあるもの

 りんご特有の甘酸っぱい香りが強いものは、甘い可能性があります。また頭の部分に「いぼり」というぼこぼこしたものがあったり、シワが寄っていたりしたら食べ頃です。爪で軽く弾いてみて高い音がするものは果肉が引き締まっている証拠ですが、購入前の商品に傷を付けることはNG。箱で購入したりいただいた際に食べ頃を確認する方法としておきましょう。

表面のべたつきの正体は?

「無袋(むたい)」や「サン」と表示されているものは、栽培の際に袋がけせず太陽を浴びたという意味です。果実の色が鮮やかではないですが、コクがあっておいしいりんごが多いことで知られています。

 りんごの表面がべたべたしていることがあります。これはりんご自身が自分を保護するために分泌するロウ質の脂質で、水分の蒸発を防ぐことで新鮮さを保っています。口に入れても特に問題はありませんが、食べる前にはよく洗いましょう。

カットの仕方もさまざま

横にして輪切りにしたスターカット(写真はイメージ)【写真:写真AC】
横にして輪切りにしたスターカット(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 りんごの食べ方はくし切りにして皮をむくのが一般的です。さらには皮の部分をV字に切り込みを入れてウサギにしたり、木の葉に見立てたりする飾り切りは、お弁当や食後のデザートに盛り付けると華やかになります。

 切り口の褐色が気になる場合は、食塩水やレモン水に浸すと防げます。変色はりんごに含まれるポリフェノール類が酸化するためですから、浸すことで酸化を抑制できます。

 一般的には皮に近い部分が甘いとされ、皮にも栄養がたっぷり含まれています。皮をむかずに食べたい時は、流水でよく洗ってからキッチンペーパーなどで拭きましょう。

 丸ごとかじるのも良いですが、皮ごと食べやすい方法としては横にして輪切りにする「スターカット」や、上から「井」の字のように包丁を入れる「垂直カット」があります。簡単に切ることができ、捨てる部分が少なくなるので、時短にも環境にも優しい切り方です。たくさんの品種が並ぶこれからの季節、楽しくおいしく食べ比べしてみてはいかがですか?

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多くの品種があるりんご 食べ比べも楽しみましょう

品種によって違う味や食感も楽しみたい(写真はイメージ)【写真:写真AC】
品種によって違う味や食感も楽しみたい(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 りんごの蜜の正体やおいしいりんごの見分け方、切り方のコツをご紹介しました。蜜はすべての品種に発生するものではなく、入りやすい品種と入らない品種があるんですね。たくさんの品種が並ぶこれからの季節、楽しくおいしく食べ比べしてみてはいかがですか? 品種によって違う味や食感も楽しめますよ。今回ご紹介した選び方や切り方も参考に、旬の味覚を味わいましょう。

【参考】日本食品成分表2020年版(八訂)

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾