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食卓に欠かせないネギ アサツキとワケギは仲間なの? その種類と見逃せない栄養素
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教えてくれた人:和漢 歩実
アサツキとワケギは何?
ネギと見た目が似ているアサツキとワケギ。ネギのようでいて、ネギとまったく同じとは言い切れません。違いは次の通りです。
〇アサツキ
ネギの近親種、つまりネギの仲間です。ネギ類の中で最も細いことから「糸ネギ」とも呼ばれます。一見すると葉ネギのようですが、味わいは異なり、強い辛味が特徴。香りや食感も良いため主に薬味として使われる一方、酢みそ和えやおひたしで食べる地域もあります。
〇ワケギ
こちらはネギとタマネギの雑種になるため、厳密に言うとネギとは別物です。「ワケギ」の呼び名は地域によって認識が異なることもありますが、よく枝分かれするために「分け葱(わけぎ)」の名が付いたと言われています。特徴は一般的なネギよりも根の部分が膨らんでいること。さらに、やわらかくて香りはマイルドです。甘味が強めのため、ぴりっとした辛味が苦手な人も食べやすいでしょう。和え物として使われることが多いようです。
葉ネギ、根深ネギ、アサツキ、ワケギ…主な栄養価を比べてみると
日本食品成分表2020年(八訂)より、主な栄養価をそれぞれ(100グラムあたり、生)比べてみましょう。
〇エネルギー量(キロカロリー)
葉ネギ:29
根深ネギ:35
アサツキ:34
ワケギ:30
〇食物繊維(グラム)
葉ネギ:3.2
根深ネギ:2.5
アサツキ:3.3
ワケギ:2.8
〇ビタミンC(ミリグラム)
葉ネギ:32
根深ネギ:14
アサツキ:26
ワケギ:37
〇βカロテン(マイクログラム)
葉ネギ:1500
根深ネギ:82
アサツキ:740
ワケギ:2700
〇カリウム(ミリグラム)
葉ネギ:260
根深ネギ:200
アサツキ:330
ワケギ:230
〇カルシウム(ミリグラム)
葉ネギ:80
根深ネギ:36
アサツキ:20
ワケギ:59
すべてエネルギー量は低め。目や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を強める役割があるβカロテン(必要時に体内でビタミンAに変換される)とカルシウムは、緑色が濃い葉ネギやワケギに多く含まれています。
ビタミンCが比較的多いのも葉ネギやワケギです。また、カリウムならアサツキ。根深ネギの青い部分のネバネバは水溶性食物繊維(フルクタン)で、腸内環境を整えて免疫力を高める働きが期待できます。
薬味にすると大量に食べるには限界がある食材かもしれませんが、炒め物や和え物、鍋や煮込みなど、実はさまざまな料理に合います。栄養価は高いので、少量でも日々の食卓に取り入れたいですね。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾