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カルチャー

人を信用できるように…短期移住ドキュメンタリーの女性監督 東京を離れて得たものは

公開日:  /  更新日:

著者:関口 裕子

以前から考えていた移住 一番大きな変化とは

 奄美への移住は初めて旅行で訪れた時から考えていました。夫も同じ気持ちだったようで、撮影中は「ここに住む」という気持ちを確固たるものにした期間でもあります。大変なこともあるのは当然分かっていましたが、それに勝る魅力があった。LCCの直行便ができて移動にかかる費用が安くなったので、仕事がある時は上京すればいいというのも移住をリアルなものにしました。

 夫と一緒に移住できたのも良かったですね。1人では躊躇したかもしれません。移住したことで夫婦ゲンカもしなくなったし(笑)。2人ともロケでいろいろな場所へ行っていたので、考える材料や経験もあったのも良かったのかも。

 今は奄美大島一の都会、名瀬で暮らしています。本当に何でも揃う3万5000人強の町。店の閉まるのが少し早いくらいで、普段の生活は東京とあまり変わらないと思います。市街地だからコンビニも近いし、どこに行くにも歩いて行ける上、車を手に入れたので本当にいろいろなことが楽になりました。

美しい景色も見所の一つ(c)映画「夫とちょっと離れて島暮らし」製作委員会
美しい景色も見所の一つ(c)映画「夫とちょっと離れて島暮らし」製作委員会

 この映画の編集と公開にあたっての作業を1人でやっていましたが、日が昇ったら起きて、映画のことをやって、日が沈む時間になったら夕日を見にいく。それもまた車を10分ほど走らせれば、水平線に丸い太陽が沈む絶景の夕日が見える場所があるんです。

 そこは気分も変えられるし、リフレッシュできて、自然の中で暮らしていることを実感できる場所。ふとした瞬間に雲の隙間からめちゃめちゃきれいな光が見え、空が青と赤に同時に染まるという想像を絶する夕焼けを見ることもできます。そういう景色を見ていると自然と感謝の気持ちが湧くんですよね。それは東京ではなかったこと。

 奄美の何が自分を変えたのか? 一番は自然への敬意が芽生えたこと。自分なんて本当に大したことない存在だということを実感させられたのが、すごく良かったと思います。後は人との交流。信じられなかった人を、奄美にいると無条件に信用できるようになる。奄美では「ゆっくりゆっくり」を「よーりよーり」と言います。「大丈夫だよ」「失敗してもいいんだよ」と許してもらえる安心感が一番大きいかもしれません。