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中止都市から人が大移動も ドイツのクリスマスマーケット 今年の開催事情を振り返る
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クリスマスマーケット開催に地域差が 人が集中する問題に発展も
みんな大好きなクリスマスマーケットですが、昨年のドイツは同時期にロックダウン中だったので、残念ながら国内全土で中止に。事情が事情なだけに仕方がないのは重々承知していました。
しかし、人口20万人ほどの中規模都市フライブルクでも、一昨年のクリスマスマーケットには約110万人の来場者が訪れたため、こうした大規模イベントが全国的に中止されることの影響は計り知れません。経済的な面だけでなく、メンタル面でも国民にとって本来欠かせないイベントなのですから。
今年は新型コロナウイルスのワクチン接種が全国的に進んでいるものの、残念ながら秋過ぎから新規感染者数が相当に増え、入院患者指数も増加してきました。そのため、クリスマスマーケットにも制限が。感染者数や入院患者指数が大幅に増えてきている地域で中止の流れになるのは、「そりゃそうだよね」と納得がいくところ。
ただ、連邦国家であり、地方政権がそれぞれの州における政策を最終決議するドイツでは、クリスマスマーケットの開催に関しても地域差が出ていました。そのため、全面禁止の地域があれば、かなりオープンにわいわいがやがやしている地域もあります。
そんな状況を受けて、ミュンヘンやニュルンベルク、ドレスデンといったクリスマスマーケットが中止された地域に住んでいる人が移動し、他都市で開催されているクリスマスマーケットに人が集中する事態にもなりました。
もちろん、クリスマスマーケットでは「2Gルール」(ワクチン接種完了か感染後療養済の証明書が提示できる人のみ参加OK)やマスク着用義務、店舗間の距離を広めにとるなど対策は取られてはいます。「そうはいってもこのご時世、あえて人混みに行くのはちょっと……。でも少しは雰囲気を感じたいな」と、お店で売られているグリューワインを買って家で温めて飲んだりするけど、何かやっぱり違う……。
「今年こそ」の思いはまたしても飲みこまなければならなくなりましたが、ぜひ来年こそはクリスマスマーケット巡りを思う存分楽しみたいものです。
(中野 吉之伴)
中野 吉之伴(なかの・きちのすけ)
ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。同国での指導歴は20年以上。「SCフライブルク」U-15(15歳以下)チームで研修を積み、さまざまな年代とカテゴリーで監督を務める。執筆では現場経験を生かした論理的分析を得意とし、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「世界王者ドイツの育成メソッドに学ぶ サッカー年代別トレーニングの教科書」(カンゼン刊)、「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする 自主性・向上心・思いやりを育み、子どもが伸びるメソッド」(ナツメ社刊)がある。ウェブマガジン「フッスバルラボ」主筆・運営。