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コロナ禍でスーパーマーケットの従業員が人気職となったフィンランド 人手不足の日本との違いとは
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世界中で感染者が拡大している新型コロナウイルス感染症。多くの人の最大の関心事となって久しいですが、感染症の拡大は社会にどのような影響を与えているでしょうか。改めて生活に欠かせないという認識が高まった「スーパーマーケット」という視点から、フィンランド在住の筆者が日本とフィンランドとの相違点について述べていきます。株式会社大成広告社の調査では、スーパーマーケットの従業員83%が人手が欲しいと回答していますが、フィンランドではコロナ危機後、人気の職業となっています。
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3月中旬には非常事態宣言 移動制限や飲食店の通常営業禁止など日本より厳格な措置
フィンランドでは、政府が非常事態を宣言し、同感染症に対処するための追加措置を発表したのが3月16日。保育園や幼稚園以外の学校や大学が閉鎖され、海外渡航の禁止、フィンランド人と在留外国人を除く渡航者の入国停止の他、10人を超える集会の禁止、美術館やスイミングホールの閉鎖などを決定しました。
3月19日には国境が閉鎖され、首都ヘルシンキを含むウーシマー郡と他の地域との移動制限も行われました(現在は解除)。さらに4月1日にはレストランやカフェ、バーなどの飲食店の通常営業が禁止になり、飲食店はデリバリー、またはお持ち帰りサービスの提供のみの営業が許される形となりました。
非常事態宣言が出たものの、国民はスーパーマーケットや薬局に買い物に出かけたり、散歩やジョギングをしたり、公園でコーヒーを飲んでゆっくりと日光を浴びることが許容されていますし、散歩など外出して身体を動かすことはむしろ奨励されています。
これは恐らく、フィンランドの人口密度が低いこと(フィンランドの人口密度は17人/平方キロメートル、一方日本の人口密度は347人/平方キロメートル)が関係していると思いますが、とはいえほとんどの人は外出を避け、買い物には最低限の頻度で出かけるよう努力している印象を持ちます。
では、スーパーマーケットではどのような変化があったでしょうか。3月半ばにフィンランドでの感染症の拡大が確認されてから数日間は、トイレットペーパーやアルコール手指消毒剤、パスタやパスタに使うトマトソースなどが多くのスーパーマーケットで売り切れとなりました。“Hamstraaminen(「ハムスター買い」。ハムスターのように大量に買い溜め・買い占めすること)”が社会問題になり、連日ニュースで報道されました。
しかしその1週間後には、ニュースや新聞でスーパーマーケットの店長や従業員などのインタビューが扱われ、「商品は十分にありますので、これから物資が不足することはありません。この先イタリアやスペイン産の果物などが手に入りにくくなるかもしれませんが、トイレットペーパーやパンなどフィンランド国内で作れるものに関しては問題なく確保してありますので、安心してお買い物をしてください。ハムスター買いをして、他の人の分まで買い占めようとしないでください」というメッセージが広がりました。手指消毒剤の品切れは3月の終わりまで続きましたが、その他の商品は1週間後には元通りに棚に並ぶようになったと記憶しています。