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感染急拡大の欧州は今 現地在住ライターが伝えるドイツの新型コロナ対策

公開日:  /  更新日:

著者:中野 吉之伴

地域ごとで対策は千差万別 スピード感をもって日々更新

スタジアム入場時に「3G」をチェックする様子【写真:中野吉之伴】
スタジアム入場時に「3G」をチェックする様子【写真:中野吉之伴】

 ドイツは地方色の強い国でもあるので、それぞれの地域で考え方が随分違います。だから対策も地域ごとで千差万別。例えば筆者が暮らすフライブルクのあるバーデン=ヴェルテンベルク州は、昔からどちらかというと保守的な考えの人が多い地域です。黒い森のあるドイツ有数の自然地域ということもってか環境問題にもうるさい。だから政策もとても慎重になります。

 12月に入り、独プロサッカーリーグ「ブンデスリーガ」の試合で入場者を最大1万5000人まで制限することが“国として”決定。これを受けて「FCケルン」や「ボルシア・ドルトムント」、「バイエル・レバークーゼン」といったクラブのあるノルトライン=ヴェストファーレン州では、1万5000人のファンが熱狂的にホームチームを応援しました。

 一方で、「VfBシュトゥットガルト」や「SCフライブルク」、「TSG1899ホッフェンハイム」のあるバーデン=ヴェルテンベルク州では最大750人に。同じ週末に同じドイツで行われている試合なのに、750人のファンの声ががらーんとしたスタジアムに時折反響しているだけで、何とも不可思議な気持ちになります。

「アイントラハト・フランクフルト」のあるヘッセン州では、12月でも子どもたちがサッカーの試合を行うのはオッケーだそうですが、「SCフライブルク」のある地域では子どもも大人もアマチュアスポーツは全試合中止に。

 新型コロナウイルスへの対応にはいろいろ困るところや疑問点がもちろんあるものの、不具合が生じた時の修正が早いのも確か、と感じています。子どもたちの学校やサッカークラブからは、最新の対策を反映したメールが毎日のように届き、アップデートが追いつかず目まぐるしいばかりです。

 ただ、早急に打つべき対策が遅々として進まず、さらに放置されるよりはずっと良いともいえます。それぞれの地域でそれぞれの対策が必要。自分たちの地域が今そうした状況にあるとわかった上で、早々にはっきりとした対策を立ててもらえるのは助かることでもありますから。

(中野 吉之伴)

中野 吉之伴(なかの・きちのすけ)

ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。同国での指導歴は20年以上。「SCフライブルク」U-15(15歳以下)チームで研修を積み、さまざまな年代とカテゴリーで監督を務める。執筆では現場経験を生かした論理的分析を得意とし、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「世界王者ドイツの育成メソッドに学ぶ サッカー年代別トレーニングの教科書」(カンゼン刊)、「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする 自主性・向上心・思いやりを育み、子どもが伸びるメソッド」(ナツメ社刊)がある。ウェブマガジン「フッスバルラボ」主筆・運営。