どうぶつ
愛犬と家族の未来を守る 犬の「訓練士」ってどんなお仕事?
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:稲垣 芳人
警察犬や災害救助犬として従事する犬やショードッグを目指す犬の訓練、一般家庭にいる犬のしつけをお手伝いするなど、さまざまな角度から犬にアプローチする「犬の訓練士」。実際にはどのような職業なのでしょうか? 知られているようで知られていないこの仕事について、訓練士の稲垣芳人さんに話をお伺いしました。
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幼少期に飼った犬との思い出から目指すことに
犬の訓練士は一般的に、警察犬や災害救助犬の訓練、家庭にいる犬のしつけを行います。それ以外にも交配や繁殖、介護、看取りまで行うこともあります。
僕はできませんが、トリミングができる人もいますね。犬に関わる医療行為以外のすべてを学び、行うことができる。それが、訓練士の強みであると思っています。僕自身、自分で犬小屋なども作ることもあります。
訓練士を志したのは、進路を考えていた時に訓練士コースのある専門学校があることを知ったことという本当に単純な理由です。
子どもの頃、家にイングリッシュコッカースパニエルがいました。本当に良い子で、犬を飼っていて苦に思ったことが何一つなかったことを思い出したんです。そこで、思い切ってこの道へ進むことにしました。
必要な素養は2つ「割り切り」と「気が長い性格」であること
訓練士になるために必要な素養は、特にこれといってあるわけではないのですが、この仕事に就いてみて感じたことが2つあります。
1つは「仕事として割り切れるか」。犬はあくまでも生き物なので、生死にかかわる場面が必ず起こります。この時に「仕事だから」とある意味で割り切れないと、つらさを引きずってしまうんですよ。
また、どんなに愛らしい犬が相手だとしても、訓練する以上は厳しく接しなければならない場面もあります。そのあたりを冷静に考えられる人が、訓練士に向いているのではないでしょうか。
もう1つは「気が長い性格」。人間に例えれば1~3歳くらいの、言葉の分からない赤ちゃんたちを相手にするようなものなのですから、短気な人には向かないと思います。自分の思うように動いてもらおうとしても、大声で叱っても、無駄な時はまったくの無駄。何度も何度も同じことを言って聞かせて、覚えさせていくしかないんです。
「訓練」という言葉には、“1つのことを継続的に練習させ体得させる”という意味があるのですが、その意味の通り「訓練」にはただひたすら練習が必要なだけで、近道などありません。